日本図書館協会選定図書

内容

桃山時代の茶の湯・数奇の茶は、「茶の湯に習いはない」をキーワードに、あるときは権力と結び、またあるときは権力に抗しながら、当時の生活と文化を短期間に急激に変化させた文化革命とも呼べる変革をになった。千利休と古田織部の死に焦点を当て、今に続く日本文化の成り立ちに決定的な影響を与えた数奇の茶の実像を明らかにする。
第5回(1996年)紫式部市民文化賞受賞作。

目次

プロローグ
 
1数奇と風狂のはざまで
  利休が説く茶の湯の極意
  人と違え、自分と違えて
  宗及一世一代の茶
  利休の手前
  新しさと流行
  数奇の世界
  心を師として
  堺に始まった数奇の茶
  和歌に数奇を悟る
  しきたりを破る
  貴賤平等、人は平等
  市中の山居
  茶道具の一新
  わび数奇に傾斜 

2時の流れ
  数奇の茶と権力の出会い
  密室の効用
  名物狩り
  名物茶器の争奪
  茶の湯の許可制
  領地よりも名物茶器
  茶の湯におぼれて
  茶器高騰、贋作横行
  
3数奇が走る
  信長から秀吉へ
  わび数奇へ
  わび数奇流行
  数奇の建築
  利休の珠光発掘
  唐物の排除
  数奇と器量
  禅の借用
  なぜ、禅か。
  文章作法の変革
  中世の終焉

4禅のくびきを脱して
  武家進出、町衆後退
  器量か、道理か
  近世茶の湯へ
  武家好み
  草庵から書院へ
  数奇屋風書院造
  書院の茶
  数奇の美
  景六分に用四分
  桃山茶陶
  南蛮料理の伝来
  会席料理のコース化
  民衆の食べ物
  抹茶の色も緑に
  吸い茶の流行
  ふくさとミサ
  
5数奇の鎧
  前野家文書「武功夜話」
  大徳寺三門の利休木像
  関係者に咎めなし
  革命の建築
  茶の湯と数奇屋平面
  民衆文化のシステム化
  同志から一転、敵へ
  処罰は利休ひとり
  織部の死
  家康と織部の道理

6数奇の落日
  光悦と宗逹
  鷹ケ峰の光悦村
  遠州ときれいさび
  数奇屋風書院造
  秀忠の脅し
  数奇の造形の浸透
  公家社会の茶の湯
  正座の出現
  小袖からきものへ
  終わりのは始まり
  習いの復活
  わびの新解釈
  文化革命の遺産
  禅で茶の湯を説く
  儒学が説く茶の湯
  利休へ帰れ
  利休が復活した時代
  道を極める
  数奇の茶の変質
  歴史の闇の中に
  
あとがき

紹介媒体

  • 京都新聞 朝刊 京都面

    2006年3月4日

    「京滋の出版」欄

  • 読売新聞 朝刊 読書面

    2006年3月12日

    白幡洋三郎

  • 京都新聞 朝刊 読書面 他地方新聞(共同通信配信)

    2006年3月12日

    陶智子

  • 公明新聞

    2006年5月1日

    火坂雅志

  • 河北新報朝刊

    2006年5月8日

    「河北春秋」欄

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