儚さの美学 :時を超える日本美術の精神
芸術はその時代を映し出し、歴史や文化の変遷を読み解く手がかりであると同時に、アイデンティティそのものといえます。
日本では、自然との深い結びつきが独自の価値観を育み、長い年月を経て「和の美」に昇華してきました。
異なるものの共存を表す「和」の概念のみならず、「もののあはれ」という無常観を受け入れ、成立してきた日本の芸術。この感受性は、儚い雨や鄙びた風景、北風、孤独な鷺、そして舞い落ちる雪といったモチーフに表れ、芸術家たちは、鉱石や貝殻、紙や絹といった自然からの恵みを拝借しながら、繊細な筆致と墨の濃淡を駆使し、儚き命の本質を描き出してきました。
昨年のプレゼンテーションでは、「和」の概念を体現する作品を紹介しました。TEFAF Maastricht 2025では、近世、近代、戦後、そして現代にわたる多様な芸術家の作品を通じて、「無常なる自然」をテーマとした展示を行います。
TEFAF Maastricht 2025
2025年3月15日(土)― 3月20日(木)
MECC Maastricht <Google Maps>
Stand 191
出品作家:伊藤若冲、横山大観、速水御舟、藤田嗣治、福田平八郎、山口長男、斎藤義重、下村良之介、加山又造、横山操、宮脇愛子、井上有一、松谷武判、鄭相和、畠山耕治