思文閣は、TEFAF Online 2021にあたり「東洋の衝動:日本の前衛書と現代陶芸」と題して、戦後の美術界において極めて重要な役割を果たした書家、井上有一・森田子龍の作品と、日本の現代陶芸を代表する作家、小川待子の最新作を出品いたします。
戦後の混沌の様相をなお残していた日本で、東洋の伝統芸術である「書」をめぐる革新的な運動を起こした井上有一と森田子龍。書の前衛運動は、やがて欧米の抽象絵画と交錯し、日本の書は、50年代後半から60年代初頭にかけて国際美術の舞台前線へ躍り出ます。
本フェアにあたり、この熱き時代に制作された作家の代表作、井上有一「刹」及び森田子龍「寒山」をご紹介いたします。
小川待子は、日本の現代陶芸界において、その独自表現が高く評価される極めて重要な作家です。「かたちはすでに在る」という考えによって、素材から立ち上がるかたちに導かれ、生み出される小川待子の作品は、観る者の心を強く打ちます。
この度、小川の最新作「結晶と記憶 五つの山」を出品いたします。
内なる自身と向き合い、文字という「かたち」あればこそ、真に自由で新しい表現を獲得してきた子龍と有一の書芸術。
素材に寄り添い、その本来の「かたち」を見出してゆく小川の作品。
時代を超えたコラボレーションをどうぞご覧ください。