著者・編者略歴

かたやま・まさひこ・・・1973年大阪府生まれ。佛教大学大学院文学研究科日本史学専攻博士後期課程修了。第五回「徳川奨励賞」受賞((財)徳川記念財団)。現在、市立枚方宿鍵屋資料館学芸員、佛教大学非常勤講師。

内容

 近年発見された「九月一七日付家康書状」。そこから新たに見えてきた豊臣と徳川の関係とは・・・。
 本書は、新出史料の分析を中心に、豊臣・徳川の政治的関係を見直しつつ、豊臣政権の東国政策の一端を明らかにしようとするものである。
 第五回「徳川奨励賞」を授与された研究をもとに、これまで「惣無事」論や「取次」論を語る際に前提とされてきた通説をくつがえすことを試みた意欲作。

■担当編集者より■
2016年の大河ドラマ『真田丸』の放送終了時には多くの戦国史ファンから悲しみの声が上がりましたが、未だに『真田丸』ロスを引きずっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ドラマでは秀吉と家康の緊迫したやりとりも見所の一つでしたが、本書はまさに豊臣・徳川間で行われたかけひきを新出の史料から読み解くものです。家康の世継・長丸(徳川秀忠の幼名)の上洛問題はについて記した良質の史料は今まではありませんでしたが、著者は新出史料の分析から、従来の定説をくつがえします。

目次

序章
 研究史の整理と問題点

第一章 天正年間における豊臣政権の在京賄料
 豊臣政権の在京賄料宛行/豊臣政権による家康への近江在京賄料宛行の意義

第二章 豊臣政権の対北条政策と家康
 豊臣・徳川間における「長丸」上洛問題/小田原の役と「長丸」の上洛/豊臣政権の小田原出兵計画と「長丸」の不上洛


補論一 書評 福田千鶴著『淀殿―われ太閤の妻となりて―』
 福田著書の構成と概要/評者の見解


第三章 天正後期豊臣政権の「取次」と家康
 関東方面の「取次」と秀吉・家康の政治的関係/豊臣・北条間の交渉と家康の役割

第四章 豊臣政権の統一過程における家康の位置付け
 家康上洛以前の豊臣・徳川の関係/「惣無事」における家康の位置付け

第五章 豊臣政権樹立過程における於次秀勝の位置づけ
 同時代史料以外にみえる「秀勝」/丹波在国期における於次秀勝

第六章 「江濃越一和」と関白二条晴良―秀吉権力の源泉の解明に向けて―
 二条家とその周囲/「江濃越一和」における二条晴良の政治活動


補論二 「石山合戦」和睦交渉における公家の役割
 天正六年の和睦交渉における庭田重保・勧修寺晴豊の役割/天正八年の和睦交渉における庭田重保・勧修寺晴豊・近衛前久の役割


補論三 原田直政の大和国支配
 「守護」原田直政について/直政の大和国支配と本願寺攻め


終章

あとがき
索引 

紹介媒体

  • 『ヒストリア』第266号

    2018年2月

    中村博司

    書評

関連書籍

  • このエントリーをはてなブックマークに追加