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キョウトマチシュウイトウジンサイノシソウケイセイ
京都町衆伊藤仁斎の思想形成
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体裁A5判・378頁
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刊行年月1987年06月
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ISBN4784204849
内容
朱子学は幕藩国家の支配階級のみならず被支配階級とくに京都町衆にも浸透する。仁斎も熱烈な朱子学徒であったが、なぜ仁斎は朱子学を否定して独自の思想体系仁斎学に至ったか。その歴史的意義と思想的展開を、徹底した稿本研究を通し、京都町衆の存在形態と意識的特質の検証の中に探る。仁斎学の新たな地平をきり拓く労作。
目次
序章 仁斎学研究の課題と展開
史料的問題
家学的問題
基本的著作の問題
訓読法の問題
経歴的事実と思想的特徴の問題
研究史の展開
本論・付論の構成と史料分析
第一章 伊藤仁斎に課する基礎的考証
仁斎名号考証
伊藤家系譜考証
第二章 思想の社会的基礎
伊藤家の社会的位置
伊藤家の氏神
伊藤家の菩提寺
伊藤家と往生思想
第三章 京都町衆と意識形態
京都町衆の歴史的位置
京都町衆の意識形態
第四章 初期思想の史料-古学先生詩文集の問題-
古学先生文集・詩集刊行底本
古学先生文集の諸稿本
古学先生詩集の諸稿本
東涯における古学先生文集・詩集の構成態度
第五章 初期の思想
伊藤家と仁斎の修学
初期一記三論の成立年代
仁斎の初期思想
第六章 仁斎学形成の契機
呉蘇原『吉斎漫録』
歴代聖賢道統図
程明道・朱子・陸王学
許魯斎
羅整庵『困知記』その他
第七章 仁斎学の形成
仁斎の朱子学受容の特性
『論語古義』〈初本〉の成立-仁斎学形成の時点-
仁斎学形成期の思想(一)
仁斎学形成期の思想(二)
第八章 仁斎学の原像-京都町衆における惣町的結合の思想形態-
『三書古義』〈三書共十一本〉の意義
思想的媒介としての朱子学
意味・血脈論の成立
一元気論・四端拡充説の差別構造
公儀・町儀の受容と町の平等性
人情説と町の差別性
仁斎学の原像の歴史的意義
第九章 京都町衆の生活規範-仁斎日記の分析を通じて-
生活態度としての人情
町の定と慣行
公儀の触書と朝廷・公家の親近性
年中行事と神儒仏一致
第十章 気一元論の成立過程-天道と天と人道の分離-
『中庸』解釈における朱子と仁斎の対立点
朱子学的理気二元論の否定
仁斎の気一元論の特性
小結
第十一章 仁斎学の展開-意味血脈論的方法の発展と転化-
本稿の課題
第二本の分析
-一元気論・三書主義・四端拡充説・人情説の登場-
誠修校本の分析
-意味血脈論の類推的機能-
学而古義本の分析-論註の設定-
元禄九年校本の分析
-仁斎の理論体系による個別経書解釈の整序=仁斎学の確立-
東涯校本の分析-独自の新断句法の採用-
元禄十六年定本の分析-元禄九年校本補訂の踏襲-
林本の分析-仁斎没後における論理的整合作業の進展-
定本の分析-林本の仁斎没後補訂の踏襲-
仁斎没後の補訂の特性-仁斎学の東涯学化-
付篇Ⅰ 伊藤仁斎の経書批判
『三書古義』と血脈の優越
『春秋経伝通解』と事実問題
付篇Ⅱ 『語孟字義』の成立過程とその校異
『語孟字義』の稿本と刊本
稿本間の異同
〈林本〉と〈林景范刊本〉の校異
小結
あとがき