2017年1月 復刊!!
日本図書館協会選定図書
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ズセツニホンイリョウブンカシ
図説 日本医療文化史
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体裁B4判上製・494頁
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刊行年月1993年10月
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ISBN4784205438 C1047
内容
太古の昔から人類の生活史の中で不可欠な医療の歩み。本書は、古代から近代までの医学・医療の発達と展開過程を広く文化史のなかで捉えた医学史研究第一人者ならではの研究成果。いわば医療から見た日本文化史。図版を豊富に挿入し、貴重な医療文化財に触れることができる。巻末には参考文献・収録写真(図版)一覧・索引(人名・事項)を付した。
目次
【目次】
Ⅰ序説
1 呪術と素朴経験医術
1-1 医療事始
宝貝/出雲神話の医療
1-2 医療と調理人
ヒポクラテス/神農
1-3 徐福と不老不死の仙薬
神仙説/徐福伝説/タヂマモリ伝説
1-4 朱の文化
施朱/神武東征物語/空海と水銀
Ⅱ古代・中世
2 仏教伝来とともに
2-1 渡来人と医療
朝鮮半島系渡来人/隋唐の医学/律令制の成立
2-2 鑑真和上
鑑真の医学史料/看病僧のこと/正倉院薬物
2-3 万葉・風土記のもとで
万葉・風土記の世界/不老長生・丹薬の盛行
2-4 現存最古の医書『医心方』
安政版の刊行/補遺
3 疫病の流行
3-1 疫病と怨霊思想
御霊会/祇園会/天神信仰
3-2 年末の防疫行事
道饗祭と疫神祭/塞神/事始
3-3 屠蘇(とそ)
屠蘇進御次第/屠蘇の原義/屠蘇の習俗
4 仏教思想のもとで
4-1 『喫茶養生記』
日宋通交と医学/寺院と茶/栄西/『茶の徳を誉むる所の書』/仙薬としての茶/仙薬としての桑
4-2 叡尊と忍性の救済事業
思円房叡尊/良観房忍性/〔付〕梶原性全
4-3 禊(みそぎ)と施浴
わが国の罪と祓え・禊/施浴
5 医療の庶民化
5-1 開業医の出現
『東北院歌合絵巻』/『病草紙』/『異本病草紙』/〔付〕『馬医草紙』
5-2 中世の芸能と医療
医学教材としての謡曲
6 戦乱と平和
6-1 外科の独立と産科
金創医と時宗/女科(産科)医の出現/〔付〕小児科(唖科)/眼科
6-2 唐物好みと唐人医
6-3 医界の天下者・曲直瀬一渓道三
局方医学から金元医学へ/金元医学の受容/文化人としての道三/道三の入信
Ⅲ近世
7 ヨーロッパ文化との接触
7-1 キリシタンの世紀
キリシタン医療/オスピタリとミゼリコルジア/キリシタン医療の終焉
7-2 南蛮流外科
膏薬療法/薬留酒の出現/南蛮流から紅毛流へ
7-3 紅毛流外科
カスパル流外科/カスパルの江戸での動向/河口良庵のこと/紅毛流外科の人びと/長崎郊外での薬草採集/公式の製薬伝習
7-4 日本研究のテン・ライネとケンペル
鍼灸の紹介/日本産樟脳の紹介/ケンペルの『廻国奇観』/ケンペルの『日本誌』
7-5 通詞系医学
楢林鎮山と『紅夷外科宗伝』/本木良意と『和蘭全?内外分合図』/吉雄耕牛/耕牛宅のオランダ部屋/耕牛の内科学
8 革新の世紀
8-1 古方派の台頭
儒学の独立/古学の勃興/李朱学派の分立/医学の復古/社会・経済的背景
8-2 古方派の進展
後藤艮山/香川修庵/古方の四大家/吉益東洞
8-3 解剖事始
山脇東洋/東洋の思想的背景/『外台秘要方』の翻刻/東洋と東洞/東洋以後の解剖
8-4 古方派と蘭学と
山脇東門/永富独嘯庵/実証的産科学の勃興
9 洋方医学の新展開
9-1 『解体新書』への道程
『解体新書』の翻訳/玄白における蘭学創始
9-2 杉田玄白をめぐる人びと
建部清庵/『和蘭医事問答』/大槻玄沢/『六物新志』/玄白と小石元俊
9-3 ツュンベリーの日本人弟子たち
『紅毛秘事記』/桂川甫周と中川淳庵
10 発展する洋方医学
10-1 オランダ正月
『西賓対晤』/芝蘭堂新元会
10-2 宇田川家三代の内科・薬物研究
『西説内科撰要』/『遠西名物考』/「内科撰要」の改訂/『遠西医方名物考』と『和蘭薬鏡』
10-3 宇田川家の人びと
宇田川玄随/宇田川玄真/宇田川榕菴/天文方訳員のこと/榕菴と理化学/榕菴の温泉分析
11 洋方医学の拡散
11-1 大坂の蘭学事始
夜明け前/橋本宗吉/伏屋素狄らの実験生理学
11-2 草創期の京都蘭学
解剖記録と写生派画家/小石元俊における蘭医学/禁裏関係者と蘭学
11-3 上方蘭学の進展
続出する蘭学塾/普山と桃塢
12 近代外科のあけぼの
12-1 ハイステル外科の受容
『瘍医新書』/『外科収功』ほか/『瘍科精選図解』
12-2 外科の開拓者・華岡青洲
青洲の学統/青洲の全身麻酔薬への道程/青洲のもう一つの学統/華岡流外科の進展/『外科起廃』/『瘍科秘録』
12-3 人体模型の制作
人頭模型/銅人(図法師)/実証的木骨/星野良悦の身幹儀/各務文献の模骨
13 シーボルトの時代
13-1 万有学的日本綜合研究のシーボルト
来日の背景と目的/日本側の異例な便宜・対応/江戸参府旅行への準備
13-2 シーボルトの門人たち(江戸参府前)
参府前の門人たちの性格/シーボルトの修学証書/門人たちの論文の性格/門人たちの医学論文/シーボルトの与えたもう一つの課業/散瞳薬をめぐって
13-3 シーボルトから学んだ医術
薬物/化学/外科/眼科/種痘/梅毒/シーボルトの医術に対する批判
13-4 シーボルト事件をめぐって
事件の発覚/判決とその波紋/鳴滝塾の解散
14 受難の狭間で
14-1 蛮社の獄前後の江戸蘭医界
伊東玄朴/高野長英/小関三英/蛮社の獄
14-2 新旧医学の葛藤
蘭学・蘭書の取締/幕府医官に蘭方医学禁止令/守旧派医家の医書校刊
14-3 牛痘種法の伝来
牛痘種法の中国情報/ロシアからの情報/佐賀藩の動き/長崎の動向と福井藩/京都と大坂の除痘館
14-4 江戸蘭方医界の再起
お玉ヶ池種痘所の開設/幕府の蘭方解禁と蘭方医登用/種痘所の類焼と再興/西洋医学所の発足
Ⅳ近代
15 近代医学教育にむけて
15-1 長崎の西洋医学伝習
前任の蘭館医ファン・デン・ブルック/ポンペの医学伝習/洋式病院の建設
15-2 コレラの侵入
第一次コレラ流行/最初のコレラ情報/ポンペのコレラ対策/緒方洪庵の『虎狼痢治準』/コレラの惨状
15-3 麻疹(はしか)の流行
文久2年(1862)の惨状/はしか絵の盛行
16 洋方医学の定着
16-1 中国を介しての洋方医学摂取
合信(ホブソン)/『全體新論』とキリスト教思想/『西医略論』ほか
16-2 幕末の新医療技術
薫腸法/浣腸法/聴診法/吸角法/電気治療法
16-3 麻酔法と皮下注射法
近代麻酔法の導入/ヘボンと沢村田之輔脱疽手術/皮下注射法
17 近代化への陣痛
17-1 開国から戊辰戦へ
ハリスと洋方医/維新期の医療体制
17-2 戊辰戦と洋方医療
英医ウィリスの登場/東北戦へのみち/高松凌雲と箱館戦
18 近代医療体制へのみち
18-1 明治新政府の新医療体制
旧幕府施設の接収/典薬寮医に西洋医学兼習許可/典薬寮に洋方医の登用
18-2 大阪の仮病院設置をめぐって
京都の動向/長崎医学校から理化学部門の独立/大阪における綜合大学設置の構想
18-3 東京の医学校・病院
東京府大病院/医学校取調御用掛の発足/東京の大病院・医学所の再編成
18-4 大阪府医学校・病院と舎密局
大村益次郎の殉難/舎密局のその後/京都府舎密局
19 制度としての近代医学
19-1 「ドイツ医学」採用の周辺
大学東校/ドイツ人医師雇人契約/上野山内に医学校・病院建設計画/ミュルレル・ホフマンの着任
19-2 軍医部制度の発足
松本良順と蘭疇医院・蘭疇舎/軍医寮の設置/海・陸軍医寮の分離
19-3 東校の医育改革
藩費から官費へ/東校の改革/長與専斎の登場/『医制』の公布/長崎医学校の廃止
20 地方の近代医学教育
20-1 ウィリスと鹿児島医学校
薩藩開成所/薩藩の交渉/ウィリスの着任
20-2 京都府療病院
設立まで/ヨンケル/マンスフェルト/ショイベ
20-3 金沢の医学校
私立種痘所から金沢藩種痘所へ/卯吉山養生所/医学校設立準備/医学館と付属病院の設置
21 近代軍陣医療の検証
21-1 西南戦争の勃発
軍団病院/博愛社救護班/売薬余話
21-2 西南戦争の進展
長崎の軍事病院/長崎軍団病院/博愛社の長崎救護班/橋本軍医監の来崎/リスター防腐法の導入/大阪陸軍臨時病院/西南戦争の教訓
21-3 西南戦後のコレラ流行
海港検疫権獲得と頓挫/コレラ騒擾
22 近代医療の進展
22-1 漢方と洋方と
漢方存続運動の展開/漢洋脚気相撲―府立脚気病院/漢方存続運動の挫折
22-2 明治初期の官公立病院
藩病院から県病院へ/東京府病院/種痘制度の発足/検梅制度
22-3 私立病院と私立医学校
順天堂医院/東京府下の3堂/慶應義塾医学所/成医会講習所・有志共立東京病院/済生学舎
23 脚気をめぐって
23-1 脚気と陸海軍
陸軍の脚気対策/海軍の兵食改良/陸軍の兵食論/陸軍の麦飯採用/戦時下の脚気多発
23-2 脚気研究の進展
森林太郎とコッホ/脚気病毒発見大講演会記事/バタビアでのオランダ人のベリベリ病研究/米ヌカの有効性をめぐって/調査会のその後
24 細菌学の時代
24-1 免疫製剤をめぐって
痘苗製造所/血清薬院/私立伝染病研究所の発足
24-2 伝染病研究所の発展と移管
芝愛宕町時代/文部省移管
24-3 化学療法の導入
志賀とエールリッヒ/秦とエールリッヒ
24-4 第一次大戦前後
サルバルサンの臨床適用/第一次大戦勃発の影響/サルバルサンの国産
25 医療福祉政策
25-1 慈恵的貧民済生
恩賜財団済生会の成立/民間の実費診療運動
25-2 労働者保護と疾病保険
後藤新平の「職業衛生法」論/工場法制度の動き/健康保険法制定への道
参考文献/収録写真(図版)一覧/索引(人名・事項)/あとがき