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内容

先入観を極力排し、奈良・平安時代を連続して考察することにより、光明子立后論の盲点を衝き、学問的に忌避されがちな孝謙女帝の復権を果すなど創見に富む著者初の論文集。

目次

序言

Ⅰ 皇位と皇統

 1章 光明子の立后とその破綻
  はじめに
  1 光明子の「即位」
  2 立后の機能
  3 光明立后の「破綻」

 2章 聖武天皇「彷徨五年」の軌跡
      ──大仏造立をめぐる政治情勢──
  はじめに
  1 聖武天皇の「関東行幸」
  2 恭仁京の造営
  3 難波での「定京」
  4 紫香楽造仏の放棄

 3章 孝謙女帝の皇統意識
  はじめに
  1 もう一人の皇太子
  2 聖武上皇の遺詔
  3 皇位と皇統
  4 法王道鏡との「共治」
  むすび

 4章 藤原永手と藤原百川
      ──称徳女帝の「遺宣」をめぐって──
  はじめに
  1 称徳女帝と「遺宣」
  2 白壁王の擁立と永手
  3 百川の役割

 5章 桓武天皇の皇統意識
  はじめに
  1 井上内親王の立后
  2 百川の「奇計」
  3 天智への回帰
  山陵奉告──むすびにかえて

Ⅱ 場の政治学

 1章 参議論の再検討──貴族合議制の成立過程──
  はじめに
  1 初期参議の性格
  2 武智麻呂と参議の変質
  3 観察使と意見封進
  4 公卿の成立
  むすび

 2章 武智麻呂政権の成立
      ──「内臣」房前論の再検討──
  はじめに
  1 武智麻呂と房前
  2 有官的と無官的
  3 「内臣」房前
  4 「右大臣」武智麻呂
  むすび

 3章 議所と陣座──仗議の成立過程──
  はじめに
  1 宣陽殿西廂と陣座
  2 議所と摂政直廬
  3 仗議の成立
  むすび

 4章 薬子の変と上皇別宮の出現
      ──後院の系譜(その1)──
  はじめに
  1 上皇の位置
  2 いわゆる「二所朝廷」について
  3 孝謙天皇と法華寺宮
  4 平城上皇と平城宮
  むすび

 5章 奈良時代の上皇と「後院」
      ──後院の系譜(その2)──
  はじめに
  1 初期太上天皇の条件
  2 上皇の別宮
  3 上皇の近臣
  4 上皇料・領について
 付論 薬子の変

Ⅲ 宮都の構造
  
 1章 初期平安京の構造
      ──第一次平安京と第二次平安京──
  『山槐記』の賑給記事──序にかえて
  1 一条大路の北上
  2 大蔵倉庫群の整備
  3 宮城十四門
  4 一条一坊の戸主
  5 桃園と世尊寺
  6 北辺坊の終焉

 2章 歴代遷宮論──藤原京以後における──
  遷宮の「故実」──緒言にかえて
  1 藤原京をめぐる諸問題
  2 平城京造営について
  3 「動かざる遷宮」のこと
  4 遷宮の終焉

 3章 「山背」遷都と和気清麻呂
  清麻呂の薨伝──はしがきにかえて
  1 難波京の解決
  2 十年という使月
  3 平安造営使の顔ぶれ
  4 清麻呂と真道

 4章 造営官と造営役夫
  はじめに
  1 造営機関──将軍監・造営官(使・職・省)
  2 造営役夫

 5章 高野新笠と大枝賜姓
  はじめに
  1 土師氏の大枝賜姓
  2 和氏譜の撰上
  3 高野天皇と高野新笠
  4 大枝山陵
  5 陵戸と土師郷

 6章 東朱雀大路と朱雀川
  はじめに
  1 西の朱雀
  2 東朱雀大路の登場
  3 「朱雀」の条件
  4 朱雀河

Ⅳ 律令課役論断章
 
 1章 歳役の終焉
      ──慶雲3年2月16日勅にみえる「安穏条例」をめぐって──
  はじめに
  1 唐制度の確立
  2 慶雲格
  3 匠丁役・築紫役
  4 歳役と百姓身役
  5 「安穏条例」の実態
  むすび

 2章 客作児役の史的意義
      ──綸旨雑役の源流をさぐる──
  はじめに
  1 造営役
  2 客作児
  3 臨時雑役の源流

 付録 皇居年表」「京職表」解題
  「皇居年表」解題 後院と里内裏
  「京職表」解題 京木口分田と職写田
    ──摂津国川辺郡の場合──

初出一覧
あとがき
索引(人名・事項)

紹介媒体

  • 朝日新聞・夕刊

    1991年11月27日

    著者

    「にゅうす・らうんじ」欄

  • 古代文化

    1992年1月

    中川 収

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