第一章においては、新史料「徂徠先生年譜細君墓表一巻」、徂徠自筆『勝覚寺縁起』により徂徠の前半生を明らかにし、第二章では徂徠学における「古文辞」の学と、それを生みだした私塾護園について論じ、第三章において徂徠の業績と評価を総合的にまとめる。
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徂徠学の史的研究
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体裁A5・424頁
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刊行年月1992年10月
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ISBN4784207376
内容
目次
第一章 徂徠の前半生
第一節 綱吉御側医荻生方菴とその子徂徠
一 徂徠先生年譜細君墓表神主一巻
二 徂徠自筆、勝覚寺縁起
三 幼時の徂徠と南総時代
四 訳文筌蹄の著作と江戸での生活
第二節 柳沢侯御儒者荻生徂徠
一 柳沢への仕官
二 御儒者徂徠の華音学習
唐音学者/唐話僧
三 華音講習と訳社結成
第三節 前半生の著作
一 蘐園随筆
蘐園随筆の成立/仁斎学及び朱子学批判について/華話・華音と古文辞について/古学について
二 読荀子
自筆稿本の成立/性悪・人為説批判/後王成名説批判
第二章 徂徠後半生の蘐園時代
第一節 私塾蘐園時代
一 柳沢侯との関係
二 吉宗将軍との関係
六諭衍義の御用/御隠密御用/御書物御用と仕官拝辞
三 日常生活
日本橋茅場町の蘐園/牛込への移転/赤坂神楽坂への移転/市ヶ谷大住町中ノ町への移転
第二節 蘐園時代の文人生活と著作
一 詩会
二 著作と出版
徂徠先生学則/徂徠先生答問書/辨道・辨名/論語微
三 蘐園社中
唐後詩/四家雋/山県周南/服部南郭/太宰春台/平野金華/三浦竹渓/高野蘭亭/宇佐見灊水
第三節 蘐園時代の著作とその思想・文学
一 辨道
二 辨名
三 論語微
四 大学解
五 中庸解
六 孟子解
七 学則
八 答問書
九 太平策
一〇 政談
享保改革との関連/徂徠の政治意見/徂徠の同時代史観
一一 明律国字解
一二 詩文国字牘
訳学/長崎様の学/古文辞
第三章 徂徠の業績と評価
第一節 永嘉・永康学と徂徠の功利主義
一 永嘉・永康学―東洋の功利主義学派―
二 徂徠の「作為」「制作」をめぐる諸問題
―自然法との対決―
第二節 時王の制と文華史観
一 後王
二 時王の制
三 文華史観
第四節 徂徠の貨幣経済論
一 貨幣数量説
二 享保の「半身代」
三 子母法・瓦礫主義と銭本位制論
第五節 徂徠の封建制論
一 共王・興王
二 封建制論
三 江戸封建制論
四 元禄的文明論
第六節 復古の学
一 考証学の構造と文芸復興
二 徂徠の道
春秋戦国時代と子思・孟子の時代の比較/孔子の「道」と後王/「是非邪正の差別」に対し「天」を対置する/敬天の非合理性/有鬼と無鬼/鬼神と人との礼
三 文献学
本文批判/訓詁の学/校勘学(校讎学)
四 清朝考証学との関係
伊藤仁斎の復古学の問題/清朝考証学と徂徠の復古の学
五 わが国考証学派との関係
六 国学との関係
第七節 古文辞と蘐園―近世的小世界―
一 古文辞の詩論
二 蘐園社中の経営
中国文学の党派と?園/宝暦・明和・安永・天明のころの蘐園/江戸の文詩社/京都の文詩社/大坂の文詩社
三 近世的小世界