九州において鎌倉前期(承久の乱後)に完成する荘園公領制の構造を、その前提にある院政期から鎌倉幕府支配体制の確立へと収束していく在地勢力の内乱、幕府の九州支配の一大特色である小地頭制という政治的社会のあり方とともに究明する。
関連書籍
ショウエンコウリョウセイノセイリツトナイラン
荘園公領制の成立と内乱
-
体裁A5判・440頁
-
刊行年月1992年11月
-
ISBN4784207503
内容
目次
序章 九州における荘園公領制の成立と内乱
一 建久図田帳体制
(一)所領配置の地域的特質
(二)荘園公領制の成立
二 内乱と荘園公領制の確立
第Ⅰ編 荘園公領制の成立と構造
第一章 鎌倉時代の肥後国人吉荘-大山・服部論争によせて-
一 寛元二年の中分注進状について
二 人吉荘の成立
三 中分後の事態について
第二章 肥後球磨の荘園公領制と人吉荘
一 建久図田帳体制の概要
二 建久図田帳体制の成立
三 人吉荘の構成と特質
第三章 肥後北部の荘園公領制-山鹿荘と二つの玉名荘-
一 山鹿荘の成立
二 山鹿荘の地域構成と玉名荘の分化
三 安楽寺領玉名荘
第四章 肥後中央部の荘園公領制おぼえがき
一 詫麻郡の所領構成
二 神蔵荘・安富荘・八王子荘
三 詫麻東郷
四 飽田郡
第五章 藤崎八幡宮と宮内荘
一 藤崎宮の創祠と造営
二 中世の藤崎宮領
第六章 中世宇佐宮領の成立形態-本御荘と常見名田を中心に-
一 本御荘の成立
二 国々散在常見田の成立
第七章 中世宇佐宮領編成の一、二の特質
一 起請田について
二 宇佐宮領田編成の特色
第Ⅱ編 内乱と鎌倉幕府の九州支配
第八章 鳥羽院政期肥後の在地情勢-肥後国訴状写の分析-
一 史料の性格
二 木原広実らの濫行
三 田口新大夫行季らの濫行
第九章 内乱期の大宮司宇佐公通
一 出自をめぐる問題
二 天養から保元-就任当初の情勢-
三 保元から治承-平氏との結合-
四 治承から寿永-内乱と公通-
五 文治から建久-晩年の公通-
第十章 鎮西養和内乱試論-その実態と意義-
一 内乱の経過と問題点
二 養和内乱の歴史的意義
第十一章 鎮西における鎌倉幕府地頭制の成立
一 地頭制成立の前提
二 地頭制の成立
第十二章 九州の小地頭制とその所領-地頭(職)と御家人の区別に関連して-
一 九州の惣地頭制-「西国之習」「鎮西之例」とは何か
二 小地頭制の所領の性格-それは私領か恩領か
第十三章 相良氏の肥後球磨郡支配-その始原を考える-
一 相良家史の記載と問題点
二 頼景・長頼の権限
付論一 肥後国山本荘における大江広元の権限-売りたて目録掲載の一史料から-
付論二 書評 義江彰夫著『鎌倉幕府地頭職成立史の研究』
付編 竹崎季長について
第十四章 竹崎季長-その出自と領主支配-
一 季長の出自について
二 季長の領主支配
第十五章 竹崎季長関係文書について
成稿一覧/あとがき/索引(人名・事項)
紹介媒体
-
史学雑誌103-1号
1994年1月
上杉和彦
-
歴史学研究660号
1994年7月
海老澤衷
-
日本歴史12月号
1995年12月
佐藤和彦