著者・編者略歴

1924年韓国生まれ.ソウル大学校文理科大学中国語文学科卒業,同大学院修了.成均館大学教授を経て台湾に招かれ,国立政治大学・中国文化大学教授,中華学術院韓国研究所所長を歴任.1972年京都産業大学客員教授として来日,京都大学・天理大学外国人講師,神戸女学院大学・富山大学・大阪大学非常勤講師・近畿大学文芸学部教授などをつとめた.文学博士(京都大学).専門は東アジア文化交流史.

内容

江戸時代、日本と朝鮮の善隣外交において、その根幹をなしていた朝鮮通信使──彼らが訪日して果した重要な役割を、政治外交と文化交流の両側面から捉える。通信使の訪日における交歓、すなわち筆談と詩文唱和の文事こそ両国の善隣友好を支えた基調であるとの視点から、数多くの貴重な文献・史料を検証し、交歓の実態を明らかにすると同時に、両国文化の異同・相互の認識と理解、そして筆談唱和のもつ意義とその影響について究明する。

目次

序論
 研究の目的
 従来の研究
 文献史料
 研究の方法
 本書の構成

第一部 日朝関係と朝鮮通信使

 第1章 日朝の交隣体制
  交隣外交の由来
  交隣関係の復旧

 第2章 朝鮮通信使の来聘
  通信使の訪日
  通信の迎接

第二部 通信使行と文化交流

 第1章 通信使と日本文人との交歓

 第2章 詩文贈答と筆談
  唱和
  筆談

 第3章 初期の交歓
  林羅山と通信使
  石川丈山と権侙

 第4章 天和度(1682)の使行
  通信使の訪日
  日本文人と筆談唱和
  洪世泰の遺墨

 第5章 正徳度(1711)の使行
  新井白石と通信使
  深見玄岱と通信使
  別宗祖縁と通信使
  祇園南海と通信使

 第6章 寛延度(1748)の使行
  通信使の訪日
  画員李聖麟と大岡春卜
  崔北の渡日

 第7章 明和度(1764)の使行
  通信使の訪日
  筆談唱和
  韓天寿「酔晋斎書帖」の題跋

 第8章 文化度(1811)の使行
  対州易地通聘
  信使の活動
  対馬における文化交流

第三部 通信使の活躍

 第1章 通信使の倭学訳官
  訪日した訳官たち
  被擄人の刷還交渉
  日本語の習熟程度
  諺文いろは
  『捷解新語』の成立時期
  通信使紀行録に散見する日本語彙

 第2章 淀川と通信使
  淀川と川船
  淀川の詩人たち
  通信使の淀川詩
  助郷役
  朝鮮聘礼使淀城来着図

 第3章 通信使の往復経路
  往路
  復路

 第4章 相互認識

第四部 通信使関係資料

 第1章 通信使の遺墨

 第2章 通信使印譜

 第3章 通信使行列絵図

 第4章 通信使の訪日紀行録

 第5章 筆談唱和集総目録

結語

あとがき
参考文献書目/索引(人名・事項・地名・史料名)

紹介媒体

  • 読売新聞・夕刊

    1997年9月18日

    著者

    「近況」欄

  • 京都新聞

    1997年9月21日

    「出版あれこれ」欄

  • 毎日新聞

    1997年9月20日

    著者

  • 産経新聞・朝刊

    1997年10月5日

    著者

    「著者に聞く」欄

  • 東洋経済日報

    1997年11月21日

    著者

  • このエントリーをはてなブックマークに追加