内容

「人間の営みの中で都市ほど複雑で難解な作品はないだろう」という著者が“ありうべき都市像”を求める一方法として近代都市をめぐる歴史的考察にとりくんできた過程で生まれた成果をまとめたのが本書で、都市史の視角と方法の提示、及び個別都市・大阪を対象とした論考を収録。

目次

序章 近代都市史の分析をめぐって
 はじめに
 第1節 なぜ近代都市史をとりあげるのか
 第2節 分析の視角
 第3節 分析概念
 第4節 史料について
 第5節 本書の構成
補論 都市問題論から近代社会論へ──近代都市史の研究成果をめぐって──
 はじめに
 第1節 都市への関心──第1期──
 第2節 都市と政治──第2期──
 第3期 都市支配をめぐって──第3期──
 第4期 下層社会と都市計画
 今後の課題と期待

第1部 近代都市の成立と構造

第1章 近世都市の転回
 はじめに──近代都市史の自立──
 第1節 近代都市のもつ意味
 第2節 近代都市の中の近世──連接の側面
 第3節 都市と近代──転回の側面──
 展望──維新期の都市の再検討──
第2章 近代都市の法制
 はじめに
 第1節 近代都市の威儀
 第2節 近世から近代へ
 第3節 都市法制での具体化
 第4節 法制化の論理
 むすびにかえて
第3章 「名誉職」の法制
 はじめに
 第1節 近世都市と近代都市と
 第2節 「名誉職」研究史
 第3節 「名誉職」法的根拠について
 第4節 名望家と「名誉職制度」
 むすびにかえて
第4章 都市支配の構造
 はじめに
 第1節 都市支配の担い手
 第2節 「予選」制の登場
 第3節 「予選体制」の成立
 第4節 「予選体制」の崩壊
 むすびにかえて
第5章 都市支配と下層社会
 はじめに
 第1節 「非人乞食」と貧民
 第2節 貧民の組織化
 第3節 「市区改正」
 第4節 「衛生組合」の登場
 むすびにかえて
第6章 近代都市の消費構造
 はじめに
 第1節 近代都市の消費──1900年前後の大阪市域──
 第2節 消費生活の変化──1910年代の大阪市──
 第3節 公設市場をめぐって
 むすびにかえて

第2部 近代大阪の史的研究

第7章 治安・衛生・貧民
 はじめに
 第1節 長屋建築規制
 第2節 貧戸移転問題
 第3節 監獄郊外移転計画
 第4節 ふたたび貧戸移転計画
 第5節 宿家取締規制
 むすびにかえて
第8章 「三大事件建白運動」と大阪民党
 はじめに
 第1節 大阪談話会・北浜倶楽部
 第2節 自由平権懇親会と関西愛国同盟会
 第3節 分立から対立へ
 むすびにかえて
第9章 都市経営と市営事業
 はじめに
 第1節 大阪市政──1898~1903年──
 第2節 大阪瓦斯会社の創立
 第3節 報償問題の提起と問題化
 第4節 交渉と妥結
 むすびにかえて──公営事業論と報償主義──
第10章 都市支配の再編成
 はじめに
 第1節 大阪市政──1904~13年──
 第2節 大阪市政改革運動の登場と展開
 第3節 大阪市民会の崩壊
 むすびにかえて

あとがき
図表一覧
索引(人名・研究者・事項)

紹介媒体

  • 年報都市史研究

    1998年1月

    佐賀 朝

    山川出版社

  • 日本史研究436号

    1998年12月

    小林丈広

  • 日本歴史1月号

    1999年1月

    植山 淳

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