江戸参府途上、オランダ商館長や通詞が滞在した京都の定宿海老屋の史料「皇都阿蘭陀人宿(荷蘭館)文書」[村上家(阿蘭陀宿)文書](神戸市立博物館蔵)を基に、「人」「物」「情報」の通過点であった阿蘭陀宿の目的・機能・史的意義を探る。史料篇には「御用書留日記」「シーボルト事件の廻状」など村上家文書の翻刻を収録。各巻未に人名索引・事項索引を付す。
オランダヤドエビヤノケンキュウ
阿蘭陀宿海老屋の研究(全2冊)
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体裁A5判
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刊行年月1998年05月
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ISBN4784209662
内容
目次
【Ⅰ研究篇】
序説 オランダ商館長の江戸参府と阿蘭陀宿
はじめに
一 オランダ商館長の江戸参府
二 江戸参府の旅宿と阿蘭陀宿
三 鎖国直後の阿蘭陀宿
四 『京都御役所向大概覚書』にみる京の阿蘭陀宿
五 史料と本研究の目的
第一章 阿蘭陀屋の位置と建物
第一節 京の阿蘭陀宿海老屋の位置と建物
はじめに
一 海老屋の位置
二 海老屋の建物
第二節 京の阿蘭陀宿海老屋の『荷蘭館額面及人名帖由来』
はじめに
一 覆刻『荷蘭館額面及人名帖由来』
二 各条検討
おわりに
第二章 阿蘭陀宿の職務
第一節 京の阿蘭陀宿海老屋の職務
はじめに
一 『阿蘭陀宿用向手続』の内容について
二 記載内容の部類分け
おわりに
第二節 京の阿蘭陀宿海老屋の借りた寺と貸座敷
はじめに
一 天明八年度の応急措置
二 寛政元年
三 寛政二年
四 寛政三年
五 寛政五年
六 寛政六年
七 寛政七~九年、寛政十一~享和元年、享和三~文化二年
八 寛政十年
九 享和二年
第三節 京の阿蘭陀宿海老屋所持のオランダ語会話書
はじめに
一 覆刻オランダ語会話書『色々な話し方』
二 オランダ語会話書『色々な話し方』の検討
まとめ
第四節京の阿蘭陀宿海老屋の「定式出入商人」
はじめに
一 天保・嘉永・安政度の「定式出入商人」
二 定式出入商人の個別・具体例
1青貝屋武右衛門
2乾八郎兵衛
3琴屋伝兵衛
4古梅園
まとめ
第三章 海老屋の相続と家業
第一節 京の阿蘭陀宿海老屋の相続
はじめに
一 広野与右衛門と初代村上文蔵
二 二代目村上文蔵
三 三代目村上専八
四 四代目村上等一
五 五代目村上於莵二(次)郎(乙次郎)和光
六 村上ふさの届出・出願書類
まとめ
第二節 京の阿蘭陀宿海老屋と献上・進物残品の販売-「為買反物」記事の例示・検討-
はじめに
一 寛政七年の例
二 文政二年の例
三 文政八年の例
四 天保三年の例
おわりに
第三節 京の阿蘭陀宿海老屋と龍脳取次所
一 届出
二 売薬
おわりに
第四章 阿蘭陀宿の宿泊・滞在人
第一節 京の京の阿蘭陀宿海老屋とオランダ人
はじめに
一 制度的常態
二 食物に難くせ、異国人嫌われる
三 ヅーフ抜け出て茶屋遊び
四 婦人を取り入れ置いたブロムホフ
五 シーボルトの京都居据わり戦術
おわりに
第二節 京の阿蘭陀宿海老屋と阿蘭陀通詞
はじめに
一 通詞の横暴
1夥しき買物と荷物
2猥りがましき行動
二 京の阿蘭陀宿の弱み
三 献上物持越京都滞留中の振合
おわりに
第三節 シーボルトの京都滞在と荷蘭館
はじめに
一 皇都荷蘭館海老屋
二 往路滞在
三 帰路滞在
四 御礼参上
五 社寺参詣・出立
まとめ
付 商館長スチュルレルの捻挫治療
はじめに
一 多紀元堅『時還読我書』の記事
二 記事の検討
三 青貝屋のことなど
第五章 事件と情報
第一節シーボルト事件、その判決情報
はじめに
一 シーボルト事件、その判決情報
二 幕府の事件後探索・聴取と阿蘭陀宿の報告・訴え
おわりに
第二節 高島秋帆事件、その判決情報
はじめに
一 江戸判決情報
二 長崎判決情報
三 熊倉伝十郎・小松典膳復讐一件判決情報
おわりに
第三節 京の阿蘭陀宿海老屋の主人が伝えた『高田屋嘉兵衛話』について
一 高田屋嘉兵衛・ゴロウニン事件
二 京と大坂の阿蘭陀宿
三 『高田屋嘉兵衛話』解題
四 覆刻『高田屋嘉兵衛話』
五 『高田屋嘉兵衛話』の注目点・独自性
六 阿蘭陀宿の情報交換
総括
あとがき
【Ⅱ史料篇】
史料一 御用書留日記
史料二 阿蘭陀宿用向手続
史料三 阿蘭陀宿相続方手続之ひかえ
史料四 村上於莵二(次)郎(荷蘭館主)任官令写
史料五 荷蘭館額面及人名帖由来(研究篇所収)
史料六 オランダ語会話書(研究篇所収)
史料七 シーボルト事件の廻状
史料八 高島四郎太夫事件の廻状
史料九 高田屋嘉兵衛話(研究篇所収)
史料十 参考資料
一 江戸参府オランダ商館員
二 江戸通詞一覧
三 参府休年出府通詞一覧
四 京都所司代一覧
五 京都町奉行一覧
紹介媒体
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京都医報
1998年9月21日
杉立義一
「著書紹介」欄
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日本史研究436号
1998年12月
鈴木康子