内容

近世の領主的土地所有論の中で自明の前提であるかのように理解されてしまったがために、十分議論されなかった問題を、既成の論理枠組みにとらわれず明らかにし、実証的に深めることで、従来の近世の領主的土地所有像を問い直すことを試みる。

目次

1 新しい近世領主制度を求めて
近世領主制試論-下位領主を中心に (J.F.モリス)
『土芥寇讎記』と大名論 (今野真)
「給人地主」制論の試み-対馬藩を素材に (高野信治)

2 近世社会と武士の存在様式
江戸幕府の軍制と旗幟 (根岸茂夫)
近世初頭の女性領主-八戸南部氏清心尼の家相続 (柳谷慶子)
武家奉公人の社会的位置-加賀藩小物の世界 (木越隆三)
『世事見聞録』に描かれた旗本の姿と知行所支配-時代を危惧した批判の目をとおして (横浜文孝)
維新期における旧交代寄合高木家と領地村方 (伊藤孝幸)

3 石高知行制の機能と展開
石高知行割をめぐる諸問題-分散・散りがかり・ならし (白川部達夫)
近世地方知行制の存在意義について-福岡藩を事例に (福田千鶴)
開発と知行-弘前藩を事例として (朝倉有子)
近世蔵米知行制の確立過程-御切米御張紙と礼差仲間の成立を通して (末岡照啓)
近世前期における与力知行地の支配について-三十五騎組与力知行地の事例 (斉藤司)

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