中世以来、古代国府の後身とも言うべき国々の中心となる領域は、国府(こう)と呼ばれるほか、しばしば府中と呼ばれる。様々な分野から研究が進んでいる古代国府と戦国以降の城下町にくらべ、両者の中間の時代にある中世府中は、意外と見逃されていた一種のミッシングリンク(見失われた鐶)であったn詳細な個別研究を集大成し、豊富な図版とともに、中世都市としての諸国府中の全体像を明らかにする
関連書籍
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中世都市「府中」の展開
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体裁A5判・576頁
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刊行年月2001年04月
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ISBN478421058X
内容
目次
序 章 諸国の中世都市府中の概観
府中研究の先駆と近況/在庁の活動と「府中」の成立/鎌倉時代の府中と守護/南北朝時代の府中と守護の居城/室町時代の府中と守護大名
第一編 東国の中世都市府中と国衙機構
第1章 下野府中の展開と小山氏
下野国府の所在地と発掘調査の成果/国府移動についての諸説/小山氏の「国府郡」内領有/「国府郡」内小山氏館跡の想定/下野府中に関する中世史料の検討/中世都市下野府中の空間構成と機能
第2章 上総府中の成立と国衙機構
奈良・平安期の上総国府所在地/鎌倉期の守護所と得宗領市原庄/南北朝・室町期の市原庄と市原八幡宮/中世の上総府中・馬野郡・郡本/中世上総国の目代・在庁・細工人等/中世都市上総府中の空間構成
第二編 西国の中世都市府中と神社・寺院
第1章 丹後府中の発展と時宗・法華宗
妙立寺厨子銘の釈文/南北朝期の情勢と銘文にみる橋立道場満福寺/戦国期の情勢と銘文にみる満福寺・妙立寺/中世都市丹後府中の空間構成-雪舟の「天橋立図」等を手がかりに-
第2章 中世備中の国衙機構と惣社造営
鎌倉期の備中国衙と在庁/服部郷図と国衙機構/南北朝・室町期の備中国と守護・守護代/『備中国惣社宮造営帳』の概要/『造営帳』にみる造営主体と国衙・寺院等/造営事業にみる武士・神官の人的構成/中世都市備中国府の空間構成
第3章 長門府中の空間構成と守護所および二宮忌宮社
長門府中と守護・守護代・国衙在庁/「境内絵図」にみる長門府中の空間構成/絵図作成年代の検討
第4章 筑後府中の成立と一宮高良社
筑後国府の所在地に関する諸説/筑後国府跡発掘調査の成果について/平安期における高良社と国衙/鎌倉期の高良社と草野氏・大城氏/南北朝・室町期の筑後守護と高良社/中世都市筑後府中の組織と空間構成(一)高良社関係/中世都市筑後府中の組織と空間構成(二)町・市・座関係
第三編 瀬戸内海域の中世地方都市と海運
第1章 淡路の府中・守護所と港津
中世淡路の府中と守護所/淡路守護細川氏と守護代の動向/有力国人の港津進出/淡路をめぐる海運の一様相
第2章 讃岐の港湾都市と両守護代の海運掌握
府中および守護所の位置と景観/両守護代の動向と管轄区域/『入舟納帳』等にみる讃岐の港津と守護代・国人/香川氏・安富氏・香西氏等の城郭
終 章 諸国府中の成立とその中世都市としての展開
古代国府と域と中世府中域/中世府中域の機能と空間構成/中世府中域における街区の形成
紹介媒体
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史学雑誌110編8号
2001年8月
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日本歴史649号
2002年6月
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日本史研究483号
2002年11月
松山宏