日本図書館協会選定図書

内容

地球温暖化防止の一役を担う森林について、都市にもある森林「鎮守の森」をテーマに「社叢学」という新たな学問の可能性の探求とその確立をめざす。
歴史学・動植物学・環境学・建築学など学際的な研究を通して身近な自然が抱える問題の考察と理解を深める。

目次

第1章 社叢とは何か(上田篤)

社叢/宮と森/縄文文化の名残り/社叢を歩く

第2章 社叢の変遷と研究の史脈(上田正昭)

モリとヤシロ/社と社叢の移りかわり/共生の聖地の再発見

第3章 社叢研究の現在と新しい研究の方法
1 考古学から社叢をみると(高橋美久二)

はじめに/考古学による木と森の検出/環濠集落の社叢/考古学による社祠の検出/湧出宮遺跡の調査から

2 祭りは時代の文化を映す鏡だ(植木行宣)

はじめに/上鴨川の住吉神社の神事芸能/王の舞・獅子・田楽/宮座の祭りと芸能/田楽から猿楽の能へ

3 絵図・地図に現れた鎮守の森(金坂清則)

鎮守の森という言葉について/地理学からの研究の欠落/地図に描かれた涌出の森/さまざまな絵図に現れる鎮守の森

4 鎮守の森は緑の島となる(菅沼孝之)

はじめに/鎮守の森の性格/鎮守の森は何を教えてくれたか/鎮守の森の弱点/鎮守の森の保全と管理

5 緑の回廊が動物を豊かにする(渡辺弘之)

社叢と動物/神木と昆虫/社叢が護る動物相/造成された社叢/動物にとっての社叢

6 やしろは大地を隔離し解放する(藤澤彰)

モリとヤシロ/聖なる空間の成立/神社の成立過程/神社建築にみる隔離形態/隔離の組みあわせ/隔離と解放/本殿の外部空間と内部空間

7 新しい都市の社叢を創ろう(田中充子)

都市計画における社叢研究の現状/遥拝の構造――地方の社叢/森の変遷――都市の社叢/ヒエイ・ハイツとアタゴ・ハイツ

第4章 社叢学の可能性(対談 上田正昭・上田篤)

付 録 用語解説/全国の主な鎮守の森


●執筆者の所属(2001年10月現在)●
上田 篤・・・・京都精華大学名誉教授
上田正昭・・・・京都大学名誉教授
高橋美久二・・・滋賀県立大学人間文化学部
植木行宣・・・・京都学園大学人間文化学部
金坂清則・・・・京都大学大学院人間・環境学研究科
菅沼孝之・・・・元奈良女子大学大学院人間文化研究科
渡辺弘之・・・・京都大学大学院農学研究科
藤澤 彰・・・・芝浦工業大学工学部
田中充子・・・・京都精華大学芸術学部

紹介媒体

  • 日本経済新聞

    2001年11月10日

  • 朝日新聞

    2001年11月16日

  • 中外日報

    2001年11月17日

  • 東京新聞・中日新聞

    2001年12月2日

  • 京都新聞

    2002年1月6日

  • 京都新聞

    2002年2月3日

  • 日本経済新聞

    2002年2月2日

  • 神社新報

    2001年12月24日

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