内容

近世京都の雑色は、所司代・町奉行の下にあって、町代と並ぶ行政の支柱となった役人であったが、とくに警察権の行使にあたった点で注目される。上雑色・下雑色・見座・中座の組織をもち、悲田院年寄・穢多年寄を支配した。本記録は上雑色五十嵐氏の諸記録と、下雑色小島氏の留書(日記)をおさめたもので、「雑色要録」の欠落部分をみたすとともに、牢屋敷における日常の生活・管理の様子を具体的にうかがうことのできる第一級の史料である。 五十嵐氏の記録類は、近世の雑色制度成立期の職務の実態や、中世からの移行を考えるうえで参考となるものと思われる。小島氏留書は「公私附込み」の日記であり、仁孝天皇葬送以下の朝廷関係行事、祇園会をはじめとする寺社の開帳・祭礼、安政大獄や文政大地震など人為・自然の事件とその対策、雑色の仲間組織など、近世後期における下雑色の活動の全貌を知ることができるとともに、立場上、幕末期諸事件のなまなましい情報を提供している。

目次

小島氏留書1 文政5・12・13年 天保8年 弘化3・4年

紹介媒体

  • 「解放新聞」

    2014年10月20日

    紹介

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