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ニホンキンセイチシヘンサンシケンキュウ
日本近世地誌編纂史研究
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体裁A5・386頁
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刊行年月2004年04月
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ISBN4784211802
内容
日本近世の地誌は、東アジア世界に共通する形式を有するとともに、地方史・地域史研究の基礎文献として重視されてきたが、その特徴・機能・意義などについては、従来研究の蓄積が少ない。
本書では、日本近世の領主支配における文化行為の意義に着目し、地誌編纂を一つの政治的文化行為と位置づけ、その機能や実態について明かし、また日本の地方史・地域史研究に対する歴史的考察の観点から、さまざまな地誌の具体的な編纂活動をとりあげる。
個々の地誌の記述内容よりも、記述形式や編纂活動、編纂体制などの分析を通じて、編纂という文化的行為の側面から地誌を理解し、東アジア地域の歴史認識・地理認識を全体的に考察する可能性を拓く一書。
目次
序 論 地誌編纂史へのこころみ
地誌編纂史とは何か
近世地誌研究の成果と課題
19世紀/20世紀前半/1960-80年代/1990年代以降/課題
地誌編纂史研究の方法
第Ⅰ部 近世地誌の成立
第一章 近世地誌の系譜と成立
近世地誌の系譜
中国方志/朝鮮地誌ほか/古風土記
近世地誌の成立過程
まとめ
第二章 『会津風土記』と地誌編纂の思想
『会津風土記』編纂と会津藩政
会津藩政の展開/『会津風土記』の編纂課程/将軍献上をめぐって/小括
寛文期の藩撰地誌と地誌編纂の思想
広島藩『芸備国郡志』/熊本藩『国郡一統志』/水戸藩『常陸国風土記』/日本地誌編纂構想とその思想
展望
第三章 『五畿内志』編纂の歴史的意義
享保期地誌編纂の諸前提
地誌をめぐる思想と行動/吉宗政権の古文献調査・収集/徳川吉宗と地誌への関心
『五畿内志』の編纂課程
調査開始まで/廻村調査の行程/板行をめぐって/完成とその影響
まとめと課題
第Ⅱ部 日本型地誌の成立過程
第四章 寛政~文化期の書物編纂と江戸幕府
大目付・目付と昌平黌の編纂調査
『国鑑』/『孝義録』/『藩翰譜続編』/『寛政重修諸家譜』と『譜牒余録』/旗指物調査/小括
勘定所の編纂・調査──関東郡代兼帯勘定奉行を中心に──
江戸湾海防巡見/『四神地名録』の編纂過程/中川忠英の廻村調査と「村方明細書上帳」/『五街道其外分間延絵図』/『大日本沿海輿地全図』(伊能図)/「郡村仮名付帳」/小括
まとめ
第五章 江戸幕府の地誌編纂内命と日本型地誌
寛政期地誌編纂の具体相
民撰地誌──『豆州志稿』を中心に/藩撰地誌──『豊後国志』を中心に/小括
享和三年の地誌編纂内命と日本地誌収集・編纂事業
江戸幕府地誌編纂事業の開始/地誌編纂内命/日本地誌収集・編纂事業の構想
地誌編纂内命と藩撰地誌
会津藩『新編会津風土記』/福岡藩『筑前国続風土記拾遺』
まとめ──日本型地誌について──
第六章 地誌調所編纂事業論──『新編武蔵国風土記稿』を中心に──
地誌調所について
設置と運営/地誌調出役
地誌調出役の廻村調査
廻村調査の概要/武蔵国久良岐郡の調査/武蔵国入間郡・足立郡の調査/武蔵国埼玉郡の調査/武蔵国比企郡の調査/武蔵国幡羅・男衾郡の調査/武蔵国葛飾郡の調査/相模国鎌倉郡の調査/江戸府内の調査
追加調査と執筆・編集
追加調査/調査内容の取捨選択/編集・執筆/完成をめぐる問題とその後
まとめ
別表 地誌調出役の廻村調査一覧
補 論 八王子千人同心による地誌調査
編纂作業開始まで
武蔵国多摩郡の廻村調査
武蔵国高麗・秩父郡の廻村調査
まとめにかえて
第Ⅲ部 地誌編纂と地域民衆
第七章 近世の村と家譜・村方旧記──武蔵国の事例から──
家譜の成立とその衰退
入間郡川越城下榎本家「三子より之覚」/埼玉郡広田村新井家「由緒書」/入間郡水野村牛久保家家譜/小括
村方旧記の成立
成立の契機/比企郡角泉村『由緒帳』他一点/高麗郡平沢村『武州高麗郡平沢村鏡覚』/小括
家譜の復活と村方旧記の衰退
埼玉郡西袋村小澤豊功の著作群/多摩郡田無村下田家『公用文例略記』/埼玉郡大沢町福井猷貞『大沢猫の爪』ほか/小括
まとめと展望
第八章 地域社会における地誌編纂と歴史認識
地域社会における民衆の地誌の成立
動機としての旧臣調査/先行地誌の知識と領主の関与/江戸から得た地誌編纂の思想/地誌の記述変化と歴史認識/小括
歴史認識の変容──「海老ケ嶋九ケ村」を事例に──
地域概況/「海老ケ嶋九ケ村」の成立過程/精神的紐帯と結集の担い手/村連合の崩壊と歴史認識の変容/小括
まとめ
結論 総括と課題
総括
課題
名所記/近代の地誌編纂
あとがき──補足と謝辞をかねて──
索引(書名・史料名/人名/研究者名)
紹介媒体
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日本史研究会近世史部会で書評会が行われます
2005年9月21日
報告:岸本覚氏
18時30分~21時、日本史研究会会議室(京都市上京区新町丸太町上る 機関紙会館3階)、詳細は日本史研究会ホームページをご覧ください
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日本史研究525号
2006年5月20日
岸本覚