近江の湖西、高島郡の木津荘(現・新旭町)は、山門の寺務機構が管理・運営する天台座主直轄の重要荘園である。木津は中世前期においては、琵琶湖西岸の重要な津であったが、中世後期にはその地位を失う。以前より木津近辺の湖底遺跡から、かつてこの地域に内湖が存在したことが明らかとなっており、また室町初期の帳簿に記載されていた耕地の一部が、現在は湖中に沈んでいることも知られている。琵琶湖の水位変動や湖岸の沈下、あるいは津の立地変化などの問題を解くカギが、この地域に遺されているのである。荘域は棚田的景観を示す丘陵緩傾斜地に広がる村落から、琵琶湖に接した湖岸低地に立地する村落まで、地形条件に対応した多様な村落を包摂しており、中世村落のさまざまなタイプを一荘園内で確認することもできる。
本書はこの木津荘に残る検注帳・引田帳ほか文献の詳細な検討、地表に残されている用水路や水田の形状、地名・伝承など「生きた文化財」の調査から、山門領荘園の実態と中世村落の景観に迫る。
定価
7,480 円(税込)
本体 6,800円
在庫状況:
在庫あり
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中世村落の景観と環境
山門領近江国木津荘
定価
7,480 円(税込)
本体 6,800円
在庫状況:
在庫あり
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体裁A5判・392頁
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刊行年月2004年10月
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ISBN4784211985
内容
目次
中世荘園・村落研究と環境史(水野章二)
木津荘域の地形環境(宮本真二)
木津荘の成立と展開(水野章二)
考古学からみた木津荘(宮崎雅充)
木津荘引田帳・検注帳と高島郡条里(熊谷隆之)
引田帳・検注帳をめぐる諸問題(小原嘉記)
木津荘の負田・公事・名(小原嘉記)
木津荘の開発と村落(熊谷隆之)
比叡荘・高島荘・木津荘─安曇川下流域の荘園公領─(熊谷隆之)
木津荘の宗教景観(宮本晋平)
環境民俗学からみた木津荘─とくに水田をめぐる生業複合論的視点から─(岸本誠司)
木津荘の景観と環境(水野章二)
紹介媒体
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史学雑誌 第115編第1号
2006年1月20日
長谷川裕子
新刊紹介欄
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日本歴史696号
2006年4月24日
原田信男