内容

 江戸時代の御典医から続く淡路島の医家に遺された100年前の軍医のノート。明治37年(1904)2月5日から翌年8月31日までの陣中日誌には、軍医から見た日露戦争の状況が細かい鉛筆書きで克明に記録されている。水・食料の確保と衛生にほとんどのエネルギーを使い、転戦する野戦病院では、戦争による外傷の治療以上に、疾病、特に脚気・赤痢の蔓延に多くの時間が割かれていたこと、兵員が汚濁水を飲まないように、軍医・看護卒が行軍中も監視を続けていたことなど、戦時下の様子が、戦場・民家・関連地理など多くのスケッチとともに生々しく活写されている。

目次

はじめに
日露戦争従軍記──軍医の陣中日記──
補注
あとがき

紹介媒体

  • 日本医史学雑誌 第51巻3号

    2005年9月20日

    莇昭三

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