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著者・編者略歴

(もり・しげあき)・・・1949年長崎県生まれ。1972年九州大学文学部国史学科卒業。1975年同大学院文学研究科博士課程中途退学。九州大学文学部助手、京都産業大学教養学部助教授、山口大学教養部・人文学部教授を経て、1997年より福岡大学人文学部教授。文学博士(1985年・九州大学)。専攻は日本中世史。

内容

鎌倉時代から室町時代にかけて、現存している古文書や、政治と深く関わった宗教者から、「中世日本」とはどのような時代だったのかをひもとき、さらに『増鏡』や『太平記』、「博多日記」という記録史料など、文芸作品からのアプローチをも試みる。中世の政治と文化を総合的に明らかにした論考15篇を収録。

目次

はじめに

第一章 政治と支配

  第一節 大塔宮護良親王令旨について
    「綸旨ノ文章」の令旨
    護良親王令旨の登場
    六波羅探題の陥落まで
    征夷大将軍就任と失脚
    護良親王令旨の奉者
    後醍醐天皇綸旨との関係

  第二節 令旨の書き止め文言──征西将軍宮懐良親王と大塔宮護良親王──
    征西将軍宮懐良親王令旨
    大塔宮護良親王令旨

  第三節 邦省親王の悲劇──もう一つの大覚寺統分枝──
    邦省と邦良、後醍醐
    嘉暦四年・貞和四年の立太子工作

  第四節 赤松持貞小考──足利義持政権の一特質──
    赤松持貞の具体的動向
      早い時期の史料所見
      「赤松越後守奉書」
      赤松持貞の職務内容
        祈祷巻数の受け取り
        室町殿足利義持の宗教的意思の伝達
        五壇法催行との係わり
        六条八幡宮年始神馬の引進
        供料の支給
        所領の給付
        寺家──室町殿間の連絡調整
      主体的な行動
      他の史料における所見
      仕組まれた事件
    将軍専制志向とその挫折

  第五節 足利将軍の元服──足利義満より同義教に至る──
    足利義満の元服
    足利義持の元服
    足利義嗣の元服
    足利義量の元服
    足利義教の元服
    相互関係についての検討──むすびにかえて──


第二章 政治と宗教

  第一節 三宝院賢俊について
    研究史
    賢俊の登場と足利尊氏
    後七日御修法
    護持僧
       武家護持僧
       五壇法
       諸種の修法
     公家護持僧

  第二節 日記に引用された文書とその性格──『満済准后日記』を素材として──
    引用された文書の種類と機能
      足利義持期
        祈祷奉書
        請文・書状
        室町殿関係の文書
        陰陽占文・勘文
        その他
      足利義教期
        祈祷奉書
        請文・書状
        室町殿関係の文書
        陰陽占文・勘文
        その他
    引用文書からみた満済の地位と役割
    記録としての『満済准后日記』

  第三節 五壇法の史的研究
    五壇法関係の史料
    平安時代の五壇法
    鎌倉時代の五壇法
    南北朝・室町時代の五壇法

  第四節 元亨三年十二月の「御産御祈」五壇法について
    修法を依頼する文書
    修法の記録
    若干の考証
    修法の政治史

  第五節 室町時代の五壇法と護持僧──足利義持・同義教期を中心に──
    室町時代の五壇法
      足利義持期
      足利義教期
    室町時代の護持僧
      足利義持期の護持僧
      足利義教期の護持僧
    五壇法と護持僧との関係──むすびにかえて──

  【資料】五壇法修法一覧


第三章 政治と文芸

  第一節 朝廷と幕府──鎌倉時代の朝幕関係と『増鏡』──
    対立
    安定
    二分化

  第二節 後醍醐天皇──その怨霊と鎮魂、文学への影響──
    後醍醐天皇怨霊の呪縛
       「先帝崩御事」
       後醍醐臨終の場面
       足利尊氏の追慕と悔恨
    後醍醐天皇怨霊の鎮魂
       天龍寺の建立
       後醍醐の物語としての『増鏡』『太平記』
       『太平記』のなかの足利直義
       後醍醐院聖忌

  第三節 『太平記』と足利政権──足利直義の係わりを中心に──
    『太平記』と足利直義
    直義による修訂とその後の改訂
    後醍醐物語としての原『太平記』と恵鎮

  第四節 『太平記』に引かれた文書
    『太平記』に引かれた文書
    引用された文書の特徴
    個々の文書の検討

  第五節 「博多日記」の文芸性と九州の元弘の乱
    「博多日記」とは
      「博多日記」の立場
      「博多日記」の構造
    「博多日記」の文芸性
      『太平記』との関係
      「博多日記」の文芸性
    「博多日記」にみる九州の元弘の乱
      合戦の性格
      大塔宮護良親王の係わり

成稿一覧
索引(事項/人名/地名・荘園名・寺社名/史料名・書名/研究者名)

紹介媒体

  • 『日本史研究』537

    2007年5月7日

    熊谷隆之

  • 『史学雑誌』116編12号

    2007年12月20日

    大田壮一郎

  • 『古文書研究』65号

    2008年5月20日

    細川武稔

  • 『佛教史学研究』第50巻2号

    2008年4月

    芳澤元

    書評

  • 『日本歴史』732号

    2009年5月1日

    伊藤喜良

    書評と紹介

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