著者・編者略歴

(げんじょう・まさよし)・・・1946年生まれ.立命館大学文学部史学科卒業.堺市博物館主任研究員・宇治市歴史資料館長を経て現在,立命館大学COE推進機構客員研究員.主な編著書:『写真でみる織田信長の生涯』(新人物往来社)『中世の民衆と芸能』(共著,阿吽社)など.

内容

京都とその近郊の中世文化史に取り組んできた著者が、今までの成果をまとめた一書。在地(荘園)をめぐる動向、公武の文芸交流と伝播、さらに河原者・声聞師の被差別民衆の諸相と室町・戦国期の人物論を収めた。

目次

Ⅰ 地域社会の躍動

第一章 東寺領上桂庄における領主権確立過程について
      ─伝領とその相論─
  上桂庄の成立と領家職
  東寺領上桂庄の出発
  相論の激化

第二章 山間庄園の生活─山城国禅定寺とその周辺─
  禅定寺領の成立
  禅定寺の鐘
  堺相論─禅定寺領と曽束庄─
  一味同心
  名の変質
 
第三章 近江国河上庄の変遷
  河上庄の成立と伝領
  延暦寺の支配と番頭制
  庄民階層
  朽木氏の入部
 

Ⅱ 公武の文芸交流

第一章 小京都─領国文化論
  西の都・山口
  越南の都・一乗谷
  公家の小京都・土佐中村
  都市文化の伝播者
 
第二章 地方武士の文芸享受─文化と経済の交換─
  三条西実隆と宗祇
  実隆と粟屋親栄

第三章 三条西家における家業の成立
  三条西家の創立と家格
  家業確立への道
  家督継承者への教育 ─むすびにかえて─

付論 実隆と「平等院修造勧進状」

第四章 商圏都市堺と南蛮文化
  日明貿易
  自治都市堺
  南蛮文化の流入
  南蛮漆器

第五章 本阿弥光悦と鷹ケ峰村
  光悦の鷹ケ峰拝領
  光悦町古図の検討
  光悦町と鹿苑寺の領界紛争
  光悦町の終焉 

付論Ⅰ 光悦蒔絵
付論Ⅱ 『吉備大臣入唐絵巻』流転の一コマ


Ⅲ 被差別民衆の諸相

第一章 洛中洛外図にみえる河原者村について
  高津本の景観内容
  高津本に描かれた河原者村
 
付論 丹後の河原巻物史料について

第二章 牛馬皮と鹿皮 ─卑賤観のあり方の相違をめぐって─
  中世の皮つくり
  天部・六条村と八幡科手村の鹿皮をめぐる争論

付論 草鞋と草履

第三章 散所の諸相
  相国寺領柳原散所
  北畠散所と桜町散所
  相国寺領御霊社東西散所
  本堅田村枝郷の陰陽村


Ⅳ 乱世を生きた人々

第一章 近衛政家と在地の土豪・岡屋六郎

第二章 足利義昭

第三章 真木嶋昭光 ─流浪将軍義昭を支え続けた側近

付録:三手文庫書籍目録(翻刻)

紹介媒体

  • 日本歴史 717号

    2008年2月1日

    五島邦治

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