内容

美術作家の独自技術に着目し特異性を浮き彫りにしていく評論集。第一章では村上隆の『芸術起業論』を題材に取り上げ、第二章では8人の現代美術家を題材に、その独自性を作家の生い立ちなどから探る「作家たちがめぐる心の冒険」の記録。図版:カラー24点・モノクロ53点

目次

第一章 村上隆の『芸術起業論』の痛快

第二章 作家たちがめぐる心の冒険
<div class=margin-1em><dl><dt><strong>陶芸 伊東慶</strong> ─「白磁」による造形と彩色の可能性を探る─
<dd>「第二次大戦後の「デザイン万能」の思潮をみごとに同化させ、「陶のオブジェ時代」を生きてきたのである」
<dt>カラー掲載作品「濤と波」「華?・山帰来・香炉」

<dt><strong>建築家 遠藤秀平</strong> ─大阪城公園に出現した「鋼鈑性能」で表現する三つの建築造形─
<dd>「私は、改めて<鉄>という<物質>のもつ<物性のかたち>に感動しています」
<dt>カラー掲載作品「大阪城公園トイレ・レストハウス」

<dt><strong>画家 郭徳俊</strong> ─不条理の告発をフィールドにした韓国の美術家─
<dd>「郭徳俊の作品が笑いの種にする不条理をフィールドにする芸術が、人種や通念や道徳や法秩序や権威の影のような属性に着目して成立しているからである」
<dt>カラー掲載作品「偽善者の微笑667」「ハテハテ サテサテ 無意味 無意味991」

<dt><strong>陶芸 小嶋千鶴子</strong> ─鳩壽(90歳)・小嶋千鶴子さんの陶芸の魅力─
<dd>「陶芸の変遷史の知覚そのものの根源から、別の脈絡へ芽吹いた小嶋流陶芸というほかない、とういうのが私の感想である」<dt>カラー掲載作品「哀憶 ルゥーシィー・リィー女子に捧ぐ」

<dt><strong>ガラス 坂田甚内</strong> ─陶かガラスか、常識破りの現代美術の開拓者─
<dd>「それにしても坂田は人使いが荒い。いや、これはスタジオなのかサロンなのか、新しい起業家のつもりになっている。つまり、坂田甚内は音楽のように芸術のコンダクターであろう」<dt>カラー掲載作品「波状文箔貼硝子/大皿」「胎動Ⅰ-蠢く形」「胎動Ⅱ -蠢く形」

<dt><strong>陶芸 松本ヒデオ</strong> ─『表層』から『疑似深層』へ移った陶の造形─
<dd>「たしかに、人生の時間というのは、さまざまの現象が変遷していく映像世界で色もかたちもある。この時間軸が描く映像を濾過して作品に転換することができたのが松本の作品世界なのだろう」
<dt>カラー掲載作品「囲み取って賞でる・シリーズ14・12」

<dt><strong>陶芸 森正</strong> ─『女のカンザシ』から『陶彫の仏像』へ─
<dd>「円空の激しい造像即布教活動を仰ぎ敬いながら、円空の宗教的な造形活動に迫ることで、おのずから、森自身が内在させている「現代人の相貌」をむき出しにしている」
<dt>カラー掲載作品「ENKU・97(1)」「♯22」「♯23」

<dt><strong>彫刻家 吉田和央</strong> ─「表皮は内質に帰順する」という鉄の彫刻─
<dd>「どれも硬い鉄の作品なのに、彼の閨房ともいうべき製作所で鉄と交情しながら自由に鉄の生態を操作する」
<dt>カラー掲載作品「鉄の表皮だけの男のトルソー」「林檎の惑星」
</dl>
</div>

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