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日中戦争についての歴史的考察
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体裁A5判・352頁
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刊行年月2007年04月
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ISBN978-4-7842-1347-4
著者・編者略歴
(あかし いわお)
1947年大阪府生まれ.
京都大学文学部史学科卒業.
同大学大学院文学研究科博士課程(国史学専攻)満期退学.
現在,奈良大学文学部史学科教授.
〈共 著〉
『敦賀市史』通史編・下巻(敦賀市,2000年)
『維新政権の成立』幕末維新論集6(吉川弘文館,2001年)
内容
日中戦争の全面化は、太平洋戦争への決定的転換点であった。またその結果は、日本の対中国政策の破綻でもあるとともに、中国市場の全面的開放と開発という、国際資本の試みの挫折といえる。本書は、日中戦争の原因について歴史学から考察する。
目次
まえがき
序 章 日中戦争論ノート――問題提起――
一 問題意識
二 課題の限定
三 「経済的国際帝国主義」
四 門戸開放と特殊関係論
五 長江流域開発計画
六 「二重政策」
七 南潯鉄道
八 日中戦争
九 総括
第一部 第一次世界大戦後の日中関係
第一章 石井・ランシング協定の前提
はじめに
一 ランシング原案と揚子江問題
二 大戦期の日本資本の対中国活動――南潯鉄道問題について――
三 石井案と日本の対中国政策
おわりに
第二章 新四国借款団に関する一考察――ワシントン会議にいたる列強と中国民族運動の対抗――
はじめに
一 新借款団と列強の「勢力範囲」――梶原・ラモント協定の評価をめぐって――
二 一九二〇年春の学生ストライキ
三 新借款団の発足――中国系新聞の反対論と飢饉救済借款問題――
四 中国銀行公会と新借款団
五 ワシントン会議直前の動向
六 結末
第三章 第一次世界大戦後の中国問題と日本帝国主義
はじめに
一 中国市場をめぐる列強の再分割競争の展開
(1)列強の経済的勢力配置
(2)新借款団結成の意義
二 イギリス帝国主義の極東政策――日英同盟から日英米三国協定構想――
三 中国における帝国主義支配の矛盾と日本帝国主義
(1)「国際共同管理論」の挫折――一九二三年「臨城事件」――
(2)一九二〇年代前半の日本の対中国政策について――むすびにかえて――
第二部 南潯鉄道と日本帝国主義
第四章 五四運動と南潯鉄道
はじめに
一 江西省概観
二 日本帝国主義と江西省――原敬内閣の「南進」策――
三 五四運動の江西省への波及
四 「米と路」――いわゆる「商・学対立」について――
五 第三次南潯鉄道借款の成立――むすびにかえて――
第五章 一九二〇年代日中関係における「大蔵外交」の展開――駐華大蔵財務官公森太郎の記録から――
はじめに
一 問題提起
二 阪谷芳郎幣制顧問招聘問題と公森太郎の中国派遣
三 大蔵財務官公森太郎の「外交」活動――新借款団結成から北伐開始まで――
四 北伐期における長江流域利権回収交渉――南潯鉄道国有化問題と満州事変との関連――
おわりに
《参考資料》「史談会速記録」(抜粋)
第三部 日中戦争
第六章 一九二〇年代日本軍部の対中国「二重政策」――林弥三吉・本庄繁の諜報活動を中心に――
一 問題の呈示
二 林弥三吉小伝――その1――
三 林弥三吉小伝――その2――
四 一九二五年の在中国諜報武官会議
五 本庄繁の諜報活動――林弥三吉との比較――
六 井上清学説批判
七 おわりに
第七章 日中全面戦争の国際的条件
一 はじめに――宋子文の国際財政諮問委員会計画――
二 情勢の転換――その1――
三 情勢の転換――その2――
四 おわりに――廬溝橋事件前夜の情勢――
第八章 日本軍の中国中南部侵略――呂集団作戦について――
はじめに
一 呂集団作戦に関する資料について
二 日本軍の南昌侵攻
三 南昌侵攻における日本軍の化学兵器(毒ガス)使用について
四 上高会戦と「三光作戦」
おわりに
〔資 料〕
終 章 日中戦争研究の一視角――中国資本主義との関連――
一 問題意識――中国と日本の現状から――
二 課題と方法
三 江西省と日本帝国主義
四 中国社会発展の二つの道
五 日中戦争
六 今後の課題
紹介媒体
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日本史研究 545号
2008年1月20日
木坂順一郎
-
『史学雑誌』第118編第7号
2009年7月20日
永井和
書評