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<日本図書館協会選定図書>
イッセンネンメノゲンジモノガタリ
一千年目の源氏物語
シリーズ古典再生①
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体裁四六判上製・252頁
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刊行年月2008年06月
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ISBN978-4-7842-1408-2
内容
一千年もの深く広大な叡智を内包する『源氏物語』。今なお時を経ながら多様な新たな文化を創出し、人の生き方にも大きな影響を与え続けている。
たんなる古典復興ではなく、それらの作品を現代の眼でもう一度見直して再生することを目指して開催された国文学研究資料館主催シンポジウム「一千年目の源氏物語」、思文閣出版・京都新聞社主催シンポジウム「私の源氏物語」をもとにし、斯界の識者による「源氏物語論」を集約。次の世代へとその価値を継承する。
目次
第一部 現代に生きる『源氏物語』の世界
近江の君について(大岡信)
「いろごのみ」の女神と光源氏(岡野弘彦)
昭和が発見したもの(丸谷才一)
私にとっての『源氏物語』(加賀美幸子)
シンポジウム「一千年目の源氏物語」
(大岡信・岡野弘彦・丸谷才一・加賀美幸子、司会:伊井春樹)
第二部 私の『源氏物語』
『源氏物語』の宗教性(山折哲雄)
『源氏物語』と京ことば(中井和子)
『源氏物語』と寝殿造(川本重雄)
『源氏物語』をめぐる人々(伊井春樹)
シンポジウム「私の源氏物語」
(山折哲雄・中井和子・川本重雄、司会:伊井春樹)
■本文より■
「千年も昔の小説で大長編のなかにすこしずつ、小さな固まりとして、短編小説的なものがあるということは、『源氏物語』の複雑なおもしろさを生みだしているのですけれども、そういう作品が書けた作者は、やっぱりすごい人だなあ、と私は思っています。」大岡信氏
「あの誇り高く教養深い御息所の意志を越えて、彼女の意識の深層から湧き起ってくる憎悪だと感じ取っている源氏の心は、イザナミの怒りの前におののきを耐えて立ち向かっている、男神イザナギの自責の心とかさなりあうものがあると思わずにはいられません。」岡野弘彦氏
「『源氏物語』という千年前の大長編小説を、学者でもないのに原文で読めるっていうのは、我々日本人だけですよ。我々日本の文学好きだけが許されているすごい特権で、この特権を使わない手はないと、ぼくは思います。」丸谷才一氏
「私にとっての『源氏物語』、言わずもがな不動であり、なおかつ自在な存在です。千年前なのに、今と全く変わらない人間の姿に自らや周りを重ね、確認したり、「ああすればいいな」「こうすれば良かったかしら」と思ったりします。」加賀美幸子氏
「絢爛豪華な曼陀羅や尊像を並べて、そのエキゾティックな美しさに接しながら、その上でなお性的な欲望を超えていくことができるのかどうか、男であることをやめることができるかどうか、というところにいく。空海の目指した精神性の究極の目標がそこにあったような気がいたします。光源氏の愛、その内面生活というのは、そのような心的な態度や作法と似通ったところがあると思うのです。」山折哲雄氏
「自分が自然に対して頼むような文化で、非常に自然が中心なんです。日本はそういう社会としてずっと暮らしてきて、『源氏物語』もあれだけすごい文章ですけれども、やはり仮名で書かれた文章として成り立っているわけです。それで『源氏物語』を読みましても、自然というものは、非常に大きな力を持っていると思うのです。」中井和子氏
「中級の貴族たちの家がどうであったかというイメージは残念ながら漢文の史料からはほとんど知ることができません。ところが『源氏物語』を読みますと、まさにその中級以下の貴族の邸宅が、障子のあり方によってうかがえるように思います。」川本重雄氏
「日本の古典が海外の人にわかるはずはないとの先入観を、私どもはもはや破棄する必要があり、むしろ今後は積極的に広めていく努力をすべきだとも思います。作品が成立して千年過ぎようとも、そこには人種や文化・歴史を超えた人間共通のテーマが、汲めども尽きない源泉のように、読めば読むほど湧出してくるのです。」伊井春樹氏
紹介媒体
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京都新聞
2008年6月22日
読書欄
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読売新聞
2008年7月20日
新刊紹介
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プレジデント
2009年2月2日
新浪剛史
textbooks for 10 subjects