日本図書館協会選定図書
ニホンノココロトゲンジモノガタリ
日本の心と源氏物語
シリーズ古典再生②
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体裁四六判上製・246頁
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刊行年月2009年12月
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ISBN978-4-7842-1412-9
内容
古事記や万葉集に表現される神話時代の男女の姿のなかには、神を育て、神に添って、神の意志を普遍化するという女性特有の聖なる力が見いだせる。それこそが、『源氏物語』の男女の恋にも続いている、日本人のロマン性を持ったあこがれの思い、心の基層である―― 宮中歌会始の選者を永年務めた編者が、師である折口信夫が体系化できずに終わった「いろごのみの道徳」論に向きあい、『源氏物語』に流れる日本の心を読み解く。
目次
【第一部】
源氏物語に流れる日本人の心の伝統(岡野弘彦)
一 『源氏物語』が内包するいにしえびとの心
『源氏物語の壮大さに惹かれて
『源氏物語』がはらむ古代
いざなみ、いざなぎの相聞
大国主とすせりひめ
邇邇芸の命といはなが姫・このはなさくや姫
仁徳天皇の大后石の日売の嫉妬の話
二 『源氏物語』は日本の物語の原型 ―神話の中の男主人公と女主人公
『源氏物語』は「物語」の典型
『源氏物語』の男主人公 光源氏
『源氏物語』の女主人公
神話・物語の女主人公の系譜と特徴
出雲神話の女主人公・すせり姫
いわながひめ・このはなさくやひめ
とよたまひめ・たまよりひめ
やまとひめ
男主人公と女主人公の原型
女主人公の資格
母子神信仰
三 『源氏物語』へとつらなる神話の古層
天女の話
聖なる女性は水の女
六条御息所と霊魂信仰と女の言葉の力
聖なる女性と聖なる水との関係
四 和歌的世界と物語の成立
恋の文学、恋の物語、恋の歌の伝統
『源氏物語』の和歌的世界
歌による求婚の心
歌・物語による魂の感染教育
「まなび」と「あそび」
五 平安文学の中の『源氏物語』
王氏と他氏の対立
天才・紫式部
道長の存在
文学サロン
伊勢との関わり
六 原(ウル)源氏物語を構想した折口信夫
折口信夫の『源氏物語』への思い
【第二部】
一 『源氏物語』(グレート・ブックス)の演習方法と実際( 須賀由紀子)
学習社会に向けて
魂の世話―古典に学ぶ
M・J・アドラーのグレート・ブックスとグレート・アイディアズ
日本古典を貫いているグレート・アイディアズ
感染教育テキスト『源氏物語』の魅力
二 民俗学から読む『源氏物語』(松田義幸)
『源氏物語』の鑑賞視点・いろごのみ論
ファッション感覚から入る『源氏物語』
女房読み語りによる魂の感染教育
折口信夫の「いろごのみの道徳」
岡野弘彦先生の「いろごのみ論」再考
丸谷文学論から読む『源氏物語』
三 『源氏物語』の感染教育力(江藤裕之)
コンティニュイティー(連続)の日本文化
言葉による精神のコンティニュイティー
力ある言葉で書かれた日本の古典(グレート・ブックス)
魂の感染教育としての古典(グレート・ブックス)教育
四 ネットワーク時代の『源氏物語』( 犬塚潤一郎)
作品制作の場―身体、知覚、論理
『源氏物語』の作品化―内容の空虚と表現の多様
源氏でなければならないのは
岡野源氏とネットワーク的意識