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著者・編者略歴

すぎえ・すすむ…1957年生. 大津市教育委員会文化財保護課勤務.おもな著書に共著『栗東の歴史』第二巻(栗東町役場, 1990年),『滋賀県の地名』(平凡社, 1991年),『園城寺文書』第五・六巻(講談社・園城寺, 1999-2000年),『図説 大津の歴史』(大津市, 1999年)など.

内容

 本書は、古代以来、全国流通路の中でも重要な位置を占めていた琵琶湖水運の近世について、より歴史的な視点からその全体像や特徴を描き出そうとするものである。近世における堅田の変貌、後背地との結びつきにより分けられる三地域(「諸浦の親郷」(堅田・大津・八幡)・湖北四ヵ浦・彦根三湊)の対抗関係、船の航行と船支配の関係という三つの視点を基軸に、近世前期琵琶湖水運の構造と特質、廻船規定、諸浦の盛衰を取り上げて論究する。またその前提として織田信長による琵琶湖水運支配、琵琶湖を航行した船の名称をも具体的に検討し、従来の認識・評価の問題点を指摘する。
 今年で琵琶湖水運研究30年という節目を迎えた著者が、大津をはじめとする琵琶湖水運史上重要な湊の自治体史編さんに携わりつつ、そこで出会った史料と丹念に向き合いながら、あたため深めてきた研究成果。

目次

序 本書の課題と前提

第1章 琵琶湖水運研究の課題

琵琶湖水運研究史
古代・中世の琵琶湖水運
本書の分析視角と全体構成

第2章 織田信長と琵琶湖水運

禁制・定・宛行状
軍事政策と大船建造
「みずうみの城郭網」の再検討

第3章 忘れられた「丸船」―「丸子船」と「丸船」をめぐって―

近世初期の史料に現れる船の名称
湖水船奉行支配の「丸船」と彦根藩領の「丸子船」
船支配と名称の使い分け
「丸子船」と『近江輿地志略』

Ⅰ 近世前期琵琶湖水運の構造と特質

第1章 近世琵琶湖水運の成立―大津百艘船と船奉行―

大津百艘船の誕生
船奉行の登場
「江州湖上往還之船定条々」と運上
幕府の成立と湖水船奉行・大津代官

第2章 近世琵琶湖水運の展開―「諸浦の親郷」三カ浦の誕生―

「諸浦の親郷」三カ浦の由緒と廻船
「台徳院様御代」と「大猷院様御代」の争論
艫折証文と宛先
「諸浦の親郷」三カ浦の登場

第3章 近世琵琶湖水運の変容―「湖辺重立候」八カ浦と大津―

西廻り航路の整備とその影響
湖水船奉行の交代と運上の賦課
大津代官の湖水船奉行兼帯と堅田・八幡の私領化
九カ浦体制の登場

第4章 幕藩間の相克―大津百艘船と彦根三湊―
彦根藩の水運政策
大津の特権と彦根水運
正徳の船賃争論
享保の争論と彦根三湊の勝利

Ⅱ 近世琵琶湖水運の廻船規定

第1章 艫折と帳屋

廻船規定としての艫折
艫折帳の実態
帳屋・船宿の役割

第2章 上米と乗前

大津の特権と上米
船積みの順番と乗前
上米の衰退と乗前の展開

第3章 丸船・丸子船と船株

船株の由緒
船株争論と船株譲渡
船株権利の変遷

Ⅲ 諸浦の盛衰

第1章 「諸浦の親郷」 八幡

堅田の「浦組」八幡
八幡航路の展開
八幡堀の恩恵
八幡・常楽寺一件

第2章 若狭との窓口 今津

江若交通路の整備と浅野長吉
金沢藩代官今津氏と今津浦・今津宿
日本海海運と今津「会所座」
西廻り航路整備の影響

第3章 東海道の渡し場 矢橋

矢橋と東海道の継立て
物資集荷地としての矢橋と山田
矢橋の船支配と役儀
「矢橋宿」の様相と渡し船の対岸

第4章 彦根藩と彦根三湊

彦根藩領の湊
「北国脇往還」と長浜
米原の発展と「九里半街道」
彦根藩の拠点松原と長浜・米原の対立

あとがき
索引(人名・地名・事項)

紹介媒体

  • 『日本歴史』第764号

    2012年1月

    丹治健蔵(交通史研究会顧問)

    書評と紹介

  • 「京都新聞」朝刊

    2012年7月3日

    三好吉彦

    (滋賀版)

  • 『交通史研究』第77号

    2012年4月

    八杉淳

    書評

  • 『史林』第95巻2号

    2012年3月

    東幸代(滋賀県立大学准教授)

    書評

  • 『社会経済史学』78-2

    2012年8月

    上村雅洋

    書評

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