平安時代貿易管理制度史の研究
定価
7,700 円(税込)
本体 7,000円
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平安時代貿易管理制度史の研究

渡邊誠 著

  • 体裁
    A5判・396頁
  • 刊行年月
    2012年02月
  • ISBN
    978-4-7842-1612-3

著者・編者略歴

わたなべ・まこと……1977年、岡山県井原市生まれ.広島大学大学院文学研究科博士課程後期修了.博士(文学).日本学術振興会特別研究員(PD)、広島大学特別研究員を経て、現在 広島県信用組合60年史編纂専門委員・福山大学非常勤講師.

内容

九世紀以降、日本の対外交易は朝鮮半島・中国大陸から来航する海外の商人(海商)によって担われてきた。従来、平安時代の貿易に対する国家の関与は、内外の交易者と対立的に捉えられることが多かった。しかし、人びとの活動を即座に国家権力と対峙させる理解は今や再考を迫られている。本書は海商の貿易活動を国家が管理する「制度」を中心にすえて、その消長を明らかにすることで、新たな貿易史像を呈示する。

目次

序 論
研究の現状と本書の課題/本書の構成

第1章 承和・貞観期の貿易政策と大宰府
新羅海商の活動と大宰府の貿易管理/藤原衛起請と承和九年官符/貞観海賊事件と大宰府

第2章 文室宮田麻呂の「謀反」
宮田麻呂の債権取立をめぐる国際情勢/対策会議における公卿の意見とその意味/宮田麻呂謀反事件の展開過程からみた事件の真相

第3章 藤原元利万侶と新羅の「通謀」
大宰少弐補任前後の政治情勢と元利万侶の立場/新羅通謀事件の真相

第4章 律令国家の対外交易制度とその変容
日本律令国家の対外交易制度/海商による対外交易と国家

第5章 管理貿易下の取引形態と唐物使
貿易手続きの実例――十世紀末、曾令文の場合――/文書からみた貿易手続き/唐物使の役割とその変容

第6章 平安期の貿易決済をめぐる陸奥と大宰府
綿から金への貿易代価の転換/陸奥国の産金と「受領官」鎮守府将軍体制/十一世紀の貿易決済と大宰府

第7章 年紀制と中国海商
年紀の年数/年紀制下の海商の活動

第8章 年紀制の消長と唐人来着定
年紀制の運用と唐人来着定/年紀制の制定目的/年紀制の終焉

第9章 十二世紀の日宋貿易と山門・八幡・院御廐
延暦寺梶井門跡の動向/石清水八幡宮の動向/院御廐(後院)の動向

第10章 大宰府の「唐坊」と地名の「トウボウ」
「唐坊」の新史料/山口県の「トウボウ」地名/日宋貿易像と海商の来航地――服部英雄氏の所論にふれて――

終 章 鴻臚館の盛衰
迎賓館としての客館/海商の来航と鴻臚館/鴻臚館から博多津唐房へ


初出一覧
索引

紹介媒体

  • 『日本歴史』第782号

    2013年7月

    田中史生(関東学院大学経済学部教授)

    書評と紹介

  • 『ヒストリア』第238号

    2013年6月

    中村翼

    書評

  • 『社会経済史学』79巻3号

    2013年11月

    榎本渉

    書評

  • 『史學雜誌』123編2号

    2014年2月20日

    榎本淳一

    書評

  • 『史学研究』279号

    2013年3月

    河内春人

    書評

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