著者・編者略歴

おおた・ゆか…1982年福岡県生まれ。2011年3月京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。日本学術振興会特別研究員DC(2009-2010年度)。同特別研究員PD(2012年度より)。論文に「松岡恕庵本草学の書誌的調査研究」(『杏雨』14号、2010年)、「松岡恕庵から小野蘭山へ ― その歴史的転化の一端」(『小野蘭山』八坂書房、2010年)。

内容

江戸前~中期に活躍し、近世日本において本草学が博物学的に発展してゆくなかでその一翼を担った人物として評価される京都の本草家松岡恕庵(1668-1746)を主題に据え、その学問の実像に迫る。松岡恕庵に関する基本的研究書。巻末に資料編として松岡恕庵著作・関連資料目録を付す。

【松岡恕庵(まつおかじょあん)】名は玄達、字は成章、別号に怡顔斎・埴鈴翁など。山崎闇斎に神道・儒学を学んだのち、伊藤仁斎の儒学塾や浅井周璞の医学塾にも入門。稲(稲生)若水のもとで本草研究に研鑽を積み、当代きっての本草学者となる。京都で私塾を開き生計を立てた。門下に小野蘭山などを輩出。

目次

第一章 生涯と学問          

一 生涯 
山崎闇斎―儒学と神道/伊藤仁斎の古義堂、浅井周璞の養志堂/本草の師 稲若水/若水の後継者として/本草学の第一人者へ/伊賀名張への出仕/没後

二 活動年譜
10代後半~20代(貞享頃~元禄10年)/30代(元禄10~宝永3年)/40代(宝永4~享保2年)/50代(享保3~11年)/60代(享保12~元文元年)/70代(元文2~延享3年)


第二章 恕庵本草学の特色       

一 儒者の本草学―医家浅井家との関わりから 
浅井図南「用薬須知後編序」(1758)/図南の学問観/序文の真意―弁護と礼賛/医家の本草 儒家の多識

二 教養としての本草学
本草知識の共有/『蘭品』の編纂/『歌仙海苔』から『苔品』へ/江村復所『聚芳帯図左編』

三 他者との連帯
諸方の風俗への関心/同志の参集―本草会


第三章 学問観            

一 本草の学問的意義―「格物」と「正名」
「題重訂本草綱目後」(1713)/「用薬須知自叙」(1712)

二 理気説
『太極図説管見鈔』/無極而太極/理気妙合

三 心神説
幸魂と奇魂―人の心の二つの動き/資料/大已貴神の幸魂奇魂/闇斎の心神説/恕庵の「心神」説


第四章 没後―門人たち        

一 嗣子 松岡定庵

二 門人 小野蘭山 

三 京都以外の門人関係―大坂・江戸


終章

参考文献・データベース


資料編 松岡恕庵著作・関連資料目録

参考文献・データベース一覧

あとがき
索引

紹介媒体

  • 『日本医史学雑誌』第58巻第4号

    2012年12月20日

    岩間眞知子

    書評

  • 『園芸世界』424号

    2013年2月

    平野恵

    特集 園芸文化に果たした本草学の役割

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