きむら・のりみつ…1939年滋賀県生。1966年京都市立美術大学(現芸大)美術学部工芸科卒業。1967年宮内庁正倉院事務所保存課勤務(総理府技官)、文化庁文化財保護審議会専門委員、京都市立芸術大学教授を経て、現在、福岡県文化財保護審議会専門委員、奈良国立博物館客員研究員。【主な著書】『正倉院の調度』(日本の美術294,至文堂,1990)『正倉院宝物に見る家具・調度』(紫紅社,1992)『正倉院美術館 ザ・ベストコレクション』(共同執筆,講談社,2009)
ショウソウインホウモツトコダイノワザ
正倉院宝物と古代の技
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体裁A5判上製・522頁
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刊行年月2015年07月
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ISBN978-4-7842-1809-7
著者・編者略歴
内容
正倉院宝物はどのような材料で製作されているのか。奈良時代の匠が用いた技術が優れていた理由は何なのか。
長年、正倉院事務所保存課に勤務し、正倉院宝物の調査・研究、保存・管理に携わってきた著者の研究成果を一書にまとめる。
目次
第一部 正倉院宝物の保存と管理
第一章 正倉院を守ってきた人々
一 宝庫・宝物の修理
二 宝物の調査
三 宝物の模造
四 正倉院古文書の整理
五 宝物の公開
六 事件
第二章 日本の伝統工芸の源流としての正倉院宝物
一 伝統を見ないもの
二 蒔絵
三 技法の復元
第三章 正倉院薬物の保存と管理
一 薬物の容れもの
二 現行の保存・管理
三 将来に向かって
第四章 正倉院楽器の保存と修復
一 献納帳等文書に記載された楽器
二 正倉院楽器の調査と修復の歴史
第五章 正倉院事務所における復元模造
一 正倉院宝物の模造品作製の歴史
二 模造事業の目的とその利用
三 模造事業で得た貴重な経験
第六章 『壬申検査社寺宝物図集』と正倉院宝物
一 壬申の検査
二 宝物と照合
第七章 正倉院宝物の残材調査
一 面目を新たにした宝物と木簡
二 中倉所属の残材と南倉所属の器物残材雑塵中のもの
三 古裂整理に際し発見した器物残材中のもの
第二部 正倉院宝物の木工・漆工・大刀
第一章 正倉院漆工品の内部構造と施工―X線透視による結果と考察―
一 指物
二 曲物
三 挽物
四 刳物
五 漆皮
六 乾漆
七 まとめ
第二章 正倉院の木工品にみる接合技法
一 接着接
二 釘付け
三―A 接手(板もの)
三―B 接手(角もの)
四 その他
第三章 正倉院の大刀鞘の素地と木取り
第三部 正倉院宝物の家具・調度と技法
第一章 正倉院宝物にみる家具・調度
一 調度品の種類と形式
二 使用材料と構造
三 多彩な手法
第二章 正倉院の愛すべき箱たち
一 木製の箱物
二 柳箱と漆皮箱
三 葛箱・竹箱(篚)・藺箱
四 多彩なるその文様
第三章 正倉院宝物にみる文様―技法別にみた場合―
一 技法別にみる文様
二 奈良時代の文様の特色
第四部 微に入り細に入り―正倉院宝物をめぐって―
第一章 瑇瑁螺鈿八角箱
一 加飾について
二 残材と新旧識別図
三 構造について
第二章 合子
第三章 漆 胡 瓶
一 概説
二 技法
第四章 奈良時代の平脱・平文
一 正倉院宝物にみる平脱・平文
二 研究史と私注
三 考察
第五章 紫檀木画箱の復元模造
一 正倉院の木画関係資料について
二 紫檀木画箱の材料・構造
三 紫檀木画箱の復元模造製作
第六章 憧幡鉸具―特に法隆寺系金具について―
付 章 宝物調査覚え書き
一 螺鈿紫檀琵琶と糸鋸
二 白銅剪子の使い途
三 末金鏤と蒔絵
四 塵芥もまた宝物
図版編(北倉・中倉・南倉)
初出一覧/あとがき/索引
紹介媒体
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『家具道具室内史』8号
2016年5月
紹介
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『日本歴史』820号
2016年9月
稲田奈津子
書評と紹介
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『古代文化』68巻2号
2016年9月30日
高橋隆博
新刊紹介