ながしま・よういち…1946年生まれ.コペンハーゲン大学博士課程修了(比較文学・日本近現代文学).コペンハーゲン大学DNP特任教授.
関連書籍
デンマークジンボクシガミタニホン
デンマーク人牧師がみた日本
明治の宗教指導者たち
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体裁四六判上製・328頁
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刊行年月2016年08月
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ISBN978-4-7842-1860-8
著者・編者略歴
内容
「異文化理解」――それはつねに文化の「誤訳」から始まる。
人はみな、自身の周りにある環境の影響のもとに生活している。我々には所詮、見えるものしか見ることはできない。
しかし、その「誤訳」を知ることで、自文化を客観視し、お互いに歩み寄ることができる。
1911年に来日したデンマーク人牧師、カール・スコウゴー=ピーターセンは、日本の寺社を見て歩き、当時の日本人の宗教観を探り、指導者たちに話を聞いてまわった。
無名の一「西洋人」によるインタビューからは、明治末期の指導的立場にあった人々が感じていた日本の問題点やキリスト教との関わりが、時には美化され、時には赤裸々に伝わってくる。
帰国後デンマークにて刊行された印象記『現代の日本から』を本邦初公刊。
スコウゴー=ピーターセンによって「誤訳」された「日本」を知ることで、「異文化理解」への再考をせまる。
■担当編集者より■
本書の魅力は、なにより読み物として面白いこと。
印象記とインタビュー録の二本立てとなっておりますので、ひとまず興味を惹かれたところから読んでみてください。
目次
訳者によるまえがき
解題
一 『現代の日本から』成立の背景と本書の着眼点
二 デンマークにおける日露戦争後の日本観
新渡戸稲造『武士道』/内村鑑三『代表的日本人』/カール・ラーセン『日本の魂』
三 カール・スコウゴー=ピーターセンと日本への視察旅行
デンマーク聖書学校/略歴と著作/1911年初夏の日本旅行/スコウゴー=ピーターセン世界旅行の滞在地
カール・スコウゴー=ピーターセン『現代の日本から―個人的な印象―』
原著の特徴と構成について訳者から/スコウゴー=ピーターセン日本での滞在地/凡例
序
Ⅰ 山並みを越えて
Ⅱ 寺社と祭り
熊本(本妙寺)/大阪(四天王寺)/神戸(禅昌寺)/京都(三十三間堂、方広寺、東西本願寺、清水寺、知恩院、北野天満宮)/奈良(奈良公園、東大寺、春日大社、奈良国立博物館)/日光(輪王寺、東照宮)
Ⅲ 指導者たちとその性格
薗田宗恵博士/村上専精先生/A・ロイド教授/大阪市長植村俊平氏/東京市長尾崎行雄氏/大隈重信伯/松村介石牧師/宮川経輝牧師/海老名弾正牧師/小崎弘道牧師/田村直臣牧師/植村正久牧師/本多庸一長老/中田重治校長/編集人内村鑑三/井深梶之助博士/原胤昭氏/山室軍平氏/賀川豊彦氏/矢嶋梶子女史
Ⅳ 訪問の成果―三つの共通点―
Ⅴ 日本人の特徴
付録
一 宣教師イェンス・ウィンテルの観察
ウィンテルの生涯/ウィンテルの書簡から/内村鑑三『聖書之研究』と外国人宣教師/ウィンテルの英文小冊子
二 内村鑑三『デンマルク国の話』
主要参考文献/訳者あとがき/謝辞
※67頁挿図「三十三間堂」は通路を挟んで仏像が向き合うように合成された写真です。
当時のデンマークの日本関係図書には、明らかに操作された写真が複数見られるため、これもまたそのような合成写真の一つと思われます。
紹介媒体
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『日本史研究』659号
2017年7月
新刊紹介