天文現象は文明の誕生以来、生活に密接に結びついた知識として実用的な学問を成立させ、生活を精神的に支える宗教を創出し、生活に潤いを与える多くの芸術を生みだしてきた。一方で、現代の学問としての天文学は、学問として細分化されすぎてしまった面もある。本書では『天文文化学』と命名する文化史・科学史の融合分野の創設を志し、文理にまたがる視点からの論考を掲載する。この試みをどこまで広げていけるのか、可能性を探る書である。
定価
10,450 円(税込)
本体 9,500円
在庫状況:
在庫あり
テンモンブンカガクジョセツ
天文文化学序説
分野横断的にみる歴史と科学
定価
10,450 円(税込)
本体 9,500円
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在庫あり
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体裁A5判・394頁
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刊行年月2021年12月
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ISBN978-4-7842-2020-5
内容
目次
『天文文化学序説』の刊行に際して(松浦 清)
Part1: 絵画作品にみる天文
愛染明王と星宿―香雪美術館蔵「愛染曼荼羅図」について―(郷司泰仁)
庚申信仰と中世の青面金剛画像(石田 淳)
久保田桃水〈雪之図〉の写生的風景―月を描く絵画の構図に見る時間解釈を中心に―(松浦 清)
研究ノート 東東洋筆「河図図」についての考察―養賢堂学頭・大槻平泉の講堂建築構想と絵師・東東洋の画業における位置付け―(寺澤慎吾)
Part:2 文学・信仰としての天文
日本神話の星―聖なる中心を表わす北極星、天空神伊邪那岐命の太刀が星座となった天之尾羽張神―(勝俣 隆)
記紀神話に見られる星の神―経津主神考―(西村昌能)
日本古代の星辰信仰―文献・出土資料からの検討―(山下克明)
『恋路ゆかしき大将』巻一の制作背景をめぐって―法輪寺と「星の光」詠を手がかりに―(横山恵理)
江戸・明治の科学書を中心に見た双子宮の名称と定着(米田達郎)
研究ノート 巨石と天文現象―アステリズムを探して―(神羽麻紀)
Part3: 近現代科学でとらえる天文
近代物理学との邂逅―麻田剛立、本木良永と志筑忠雄―(真貝寿明)
宇宙物理学で見る宇宙と人類の地平(鳥居 隆)
コラム 超新星出現の目撃者(作花一志)
人々は空を見て何を思うか―天文と歴史を科学コミュニケーションでつないで考える―(玉澤春史)
天文文化学の目指すもの―理系出身者の視点から―(真貝寿明)