タケウチセイホウ スイボクフウケイガニミルガキョウ

竹内栖鳳 水墨風景画にみる画境

藤木晶子 著

  • 体裁
    A5判・382頁+カラー口絵8頁
  • 刊行年月
    2022年03月
  • ISBN
    978-4-7842-2032-8

内容

近代日本画壇の巨匠・竹内栖鳳(一八六四~一九四二)。その評価と研究は、これまで彼の前半生に集中していた。
本書では、彼の後半生の絵画創作に焦点を当て、前半生の表現から進展を見せた水墨風景画について論じる。水墨技法と作品素材の関係性や、現地での写生取材、絵画表現の成り立ち、当時の画壇動向と展覧会など、多角的な観点からの分析によって、栖鳳の画業を再考し、栖鳳晩年の水墨風景画を近代日本美術史に位置付ける。

★★★担当編集からのひとこと★★★
一見、伝統的な日本画のようには見えない、竹内栖鳳のモダンな絵画群は、彼がいかに日本画技巧にとどまらない表現力をもつ、先駆的存在であったかを思い知らされます。そんな栖鳳生涯の晩年では、水墨風景画を制作するなかで多くの工夫や実験が行われていましたが、意外と知られていません。本書には、作品素材「栖鳳紙」開発の経緯、写生帖描写一覧、水墨風景画に特化した参考文献一覧など、実制作にも知見の深い著者によってまとめられた、得がたい情報満載です。

目次

第一章 栖鳳晩年の水墨風景画の全貌 
潑墨・破墨の画法と栖鳳作品
大正末期頃~昭和七年頃
昭和八年頃~昭和九年頃
昭和一〇年頃~昭和一六年
水墨風景画制作の変遷 

第二章 「淡交会展」における挑戦 
淡交会の特徴と意義
第三回淡交会展
第七回淡交会展
淡交会における出品画家の動向 

第三章 潮来風景の写生取材の実態 
写生帖の素描分析
藤岡鑛二郎の著述
竹内栖鳳の著述
写生取材から絵画化への推移 

第四章 中国と潮来の風景表現の連繋 
中国訪問と同地の風景画
中国風景画に辿る表現の契機
潮来風景画における表現の変遷
水墨風景画に至る絵画創作の展開 

第五章 「栖鳳紙」開発と作画意図 
日本画の基底材に関する動向
栖鳳紙の開発着手から完成まで
栖鳳紙に対する試験分析
紙本と絹本を巡る栖鳳の思索 

第六章 近代水墨画と栖鳳の画境 
近代の水墨表現の推移
東京画壇の水墨画
京都画壇の水墨画
南画系の水墨画
洋画出身者の水墨画
栖鳳の水墨画の位置付け

紹介媒体

  • 『月刊美術』6月号(No.561)

    2022年5月20日

    新刊案内

  • 『アートコレクターズ』No.160

    2022年7月

    BOOK GUIDE

  • 『京都新聞』2022年7月7日付 文化面

    2022年7月7日

    著者インタビュー

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