神奈川大学国際日本学部教授
センジカノブンカヲカンガエル
戦時下の〈文化〉を考える
昭和一〇年代〈文化〉の言説分析
-
体裁A5判・260頁
-
刊行年月2023年08月
-
ISBN978-4-7842-2061-8
著者・編者略歴
内容
昭和戦前期、〈文化〉はどのように語られ、いかなる意味を担っていたのか──。
日中戦争開戦前、フランスを中心とする思想にアクセスできる文学者や哲学者にとって、〈文化〉は迫り来るファシズムに抵抗するための根拠だった。それからわずか数年、〈文化〉は多くの国民が関わり、太平洋戦争を支える旗印となっていった。本書では、この「文化の擁護」から「文化の建設」へと至る歴史的転回を、当時の膨大な言説の分析から検証した。
★★★編集からのひとこと★★★
2023年3月、文化庁の京都移転が始まりました。国の省庁が全面的に移転するという、この大変革で何が変わっていくのか、今後が楽しみです。
……ところで、文化庁の「文化」とは具体的には何なのでしょうか。何を目的とした、誰のための「文化」なのでしょう。
考え始めるとあやふやになる「文化」の輪郭を捉えようと模索したのが本書です。戦時期日本を舞台に、膨大な量の言説分析によって、当時の政府や知識人たちが唱えた「文化」の実態に迫ります。
目次
はじめに―〈文化〉を考える
序論─戦時下‐昭和一〇年代における〈文化〉
第一部 〈文化〉の通史‐変遷
第一章 世界化する〈文化〉―昭和一〇年前後の文化擁護国際作家会議/知的協力国際会議
第二章 大政翼賛会文化部長・岸田國士の〈文化〉論─昭和一〇年代前半の〈文化〉言説
第三章 日本文化/大東亜文化/世界文化─昭和一〇年代後半の〈文化〉言説
第二部〈文化〉の表徴‐各論
第四章 昭和一〇年代における地方文化(運動)言説─文学(者)を軸として
第五章 〈文化〉言説のなかの〝近代‐西洋文化〟─文化史としての「近代の超克」
第六章 太平洋戦争期の文化工作言説─南方・諸民族・大東亜共栄圏
総論―日本文化の性格
紹介媒体
-
『日本歴史』第916号
2024年9月
清水均
書評