著者・編者略歴

1945年岐阜県生。1970年名古屋大学文学部美学美術史専攻卒業。京都府立総合資料館、京都国立博物館、文化庁美術学芸課主任文化財調査官、和歌山県立博物館館長を経て、現在京都国立博物館名誉館員。著書に、『院政期の仏像』(共著、岩波書店、1992年)、『調査報告 広隆寺上宮王院聖徳太子像』(京都大学学術出版会、1997年)、『平安時代彫刻史の研究』(名古屋大学出版会、2000年)など。

内容

2022年に刊行した『神像の研究』に引き続き、著者が長年にわたり書き溜めてきた、神像に関する研究を集成する。従来まとまった研究の蓄積がなかった神像について、とくに仏教(仏像)との習合現象を扱う「神仏習合と本地垂迹説」に力点を置き、神像造立の思想的背景に迫る。
また、微細な神格として従来研究の対象にならなかった「門神・童子・動物表現」や、研究対象を芸能にまで広げる「師子頭と面」によって、神像史研究の領域の広さを示し、神像研究の進展に寄与することを試みる。

目次

Ⅰ 神像各論

1 東寺八幡三神像とその図像
2 出雲大神宮の神像 ―とくに出雲神話との関係について―
3 伊奈冨神社男神像を有職装束・造像技法から見る
4 神像に見る模作試論 ―御調八幡宮像を中心に―
5 丹生明神の奉祀とその造像
6 女神坐像 十一面観音立像 宇治・白山神社蔵
7 高山寺の白光神像・善妙神像

Ⅱ 神仏習合と本地垂迹説

8 熊野速玉大社の三所権現像 ―初期の神仏習合表現―
9 伊勢・菩提山神宮寺旧在の仏像・神像
10 大山祇神社十六王子像とその周辺
11 香川・長勝寺八幡神本地仏像と本地垂迹思想
12 石清水八幡宮太子堂旧在の南無仏太子像 ―本地垂迹造像の一例として―
13 ダキニ天の彫像と中世の護法天部

Ⅲ 門神、童子、動物表現

14 世羅町聖神社の門神と童子
15 童形神像(補遺)―MIHO MUSEUM像と個人蔵像の紹介―
16 岡山・高野神社の師子一対
17 嚴島神社の師子狛犬(再論)
18 高山寺動物彫刻の意義と明恵上人
19 手向山八幡宮神輿の鳳凰
20 岡山・木山神社の白狐一対

Ⅳ 師子頭と面

21 転害会所用の仮面 ―附 師子頭の史的概観―
22 猿楽とその面
23 仮面における"ゆがみ"の表現について

成稿一覧
あとがき
索引

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