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徳川幕臣団と江戸の金融史

札差・両替商の研究

末岡照啓 著

  • 体裁
    A5判・400頁
  • 刊行年月
    2024年12月
  • ISBN
    978-4-7842-2100-4

著者・編者略歴

1955年 長崎県生まれ。1978年 國學院大學文学部史学科卒業。同年 住友修史室勤務(住友史料館に名称変更)。2005年~2020年 住友史料館副館長。1997年~2020年 新居浜市広瀬歴史記念館名誉館長・特別顧問を兼務。現在 住友史料館研究顧問。

内容

徳川幕臣団(旗本、御家人)の俸禄米を担保とした貸付けによって家計を支えた札差、旗本知行所の年貢米を受けとり家計の面倒をみた両替商など、江戸の有力商人の経営実態について、幕府の金融政策を通して分析。従来の高利貸しと困窮する武士といった画一的なイメージを超えて、幕藩体制を維持するために幕府、幕臣団、有力商人たちがそれぞれの思惑を抱きつつも、相互に依存する関係性を浮かび上がらせる。また研究史上、上方に比べて軽視されてきた江戸の金融史の再評価も企図する意欲作。

目次

はじめに

序章 本書の目的

第Ⅰ部 徳川幕臣団と札差

第1章 近世蔵米知行制の成立と御張紙値段
 第一節 蔵米知行制とは
 第二節 徳川幕臣団の蔵米知行制
 第三節 寛永期における蔵米知行制の成立
 第四節 御切米御張紙(御張紙値段)の創設
 第五節 元禄地方直しと蔵米知行制
 第六節 享保改革と蔵米支給制度の改正
 第七節 御張紙値段の考察

第2章 札差仲間の成立・変遷と寛政の棄捐令
 第一節 札差仲間の成立
 第二節 札差仲間の変遷
 第三節 札差の繁栄と十八大通
 第四節 札差仲間の取締りと安永の組分け
 第五節 寛政の棄捐令と猿屋町会所の設置
 第六節 棄捐高と札差株の移動

第3章 札差証文について
 第一節 札差と俸禄米受取の代行手続き
 第二節 札差証文の残存状況
 第三節 札差証文の書式
 第四節 札差証文の諸相

第4章 天保の無利息年賦返済令と札差
 第一節 寛政の棄捐令後の幕府と札差
 第二節 無利息年賦返済令の発布
 第三節 無利息年賦返済令後の札差対策
 第四節 札旦那貸付利率をめぐる札差の対応

第5章 幕末期の札差経営―泉屋甚左衛門店の経営分析―
 第一節 泉屋甚左衛門店(浅草米店)の来歴と業務
 第二節 天保の無利息年賦返済令の影響
 第三節 文久の安利年賦返済令とその後

第6章 近世における旗本救済策と勝手賄いの特質
 第一節 徳川幕臣団と財政問題―問題の所在―
 第二節 幕府の旗本救済対策と米価の変遷
 第三節 旗本勝手賄いの成立と依頼定式証文
 第四節 逸見家にみる蔵米取の勝手賄い
 第五節 一色家にみる地方取の勝手賄い
 第六節 旗本勝手賄いの特質と課題

第7章 明治維新後の幕臣団と札差
 第一節 徳川幕臣団の解体と朝臣化
 第二節 官禄の制定と札差の禁止

第二部 幕藩領主と江戸両替商

第8章 江戸両替仲間の結成と金融政策
 第一節 江戸両替仲間の結成
 第二節 三都の為替仲間の成立
 第三節 新規本両替仲間の登用と経歴
 第四節 文化・文政期の幕府金融政策と本両替

第9章 江戸両替商の代官・田安家・一橋家掛屋業務
 第一節 住友江戸両替店の取引先と取引規定
 第二節 代官の掛屋業務
 第三節 田安家の掛屋業務
 第四節 一橋家の掛屋業務

第10章 江戸両替商の大名・旗本金融業務と商用貸付
 第一節 大名との掛屋・蔵元業務
 第二節 旗本勝手賄いと武家取引
 第三節 商人への商用貸付と御用貸付

第11章 明治維新後の江戸両替商
 第一節 新政府の御用金と江戸両替商
 第二節 東京為替会社と江戸両替商
 第三節 江戸両替商と東京為替会社のゆくえ

終章―江戸札差と両替商の位置づけ―
 第一節 近世蔵米知行制と札差
 第二節 江戸両替商の特徴

あとがき
索引(人名・事項)

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