●3月のおすすめ●
四季の美しさで巷に知られた門跡寺院、実相院 最初の研究書
宇野日出生編/京都府京都文化博物館・京都市歴史資料館企画
『京都 実相院門跡』
■B5判並製・144頁・本体価格2,000円(税別)・2016年2月刊行
ISBN 978-4-7842-1835-6
●編者メッセージ●
実相院は京都市左京区岩倉に境内を構える天台宗寺門派の門跡寺院です。巷では四季の彩りが客殿板間に写し出される美しさで知られています。この格式ある門跡寺院には、狩野派の雄壮な襖絵や杉戸絵、気品溢れる仏像、美しい庭園、荘厳な建造物、そして4000点にも及ぶ貴重な古文書が伝えられているのです。かかる文化財については、部分的には知られていましたが、本格的な調査研究や公開はなされていませんでした。
京都市歴史資料館が古文書の調査を平成19年(2007)から行い、とりわけ重要な中世文書群は、平成27年(2015)に京都市指定文化財となりました。これをきっかけに、寺院の文化財公開に向けての気運が高まり、翌28年には京都府京都文化博物館で「実相院門跡展」が開催されました。
本書は展覧会図録としての役目と、実相院所蔵文化財の先端研究の成果としての役割を果たしています。絵画・彫刻・文書・建築・庭園の各専門分野の研究者による研究結果が集約されており、門跡寺院の総合的研究書として捉えていただきたいと思います。(宇野日出生)
●目次●
ごあいさつ(実相院門跡 原敬泉)
はじめに
〈カラー図版〉
〈論 考〉
総 論 洛北岩倉と実相院門跡(宇野日出生)
第一章 構造のけしき 貴族邸宅の遺構(日向 進)
第二章 空間のよそおい 門跡寺院特有の庭(今江秀史)
第三章 美のしつらい 実相院の襖絵(奥平俊六)
第四章 信仰のかたち 不動明王立像をめぐって(井上一稔)
第五章 文事のせかい 洗練された教養・風雅な生活(廣田 収)
第六章 史料のかたり 中世の実相院と大雲寺(長村祥知)
大雲寺力者と天皇葬送(西山 剛)
門跡の生活(佐竹朋子)
〈年譜 実相院門跡〉
あとがき(宇野日出生)
●編者略歴●
うの・ひでお…1955年生.國學院大學大学院文学研究科博士課程前期終了.京都市歴史資料館.