並河靖之と明治の七宝業
定価
9,900 円(税込)
本体 9,000円
在庫状況: 在庫あり

関連書籍

ナミカワヤスユキトメイジノシッポウギョウ

並河靖之と明治の七宝業

武藤夕佳里 著

  • 体裁
    A5判・410頁+カラー口絵16頁
  • 刊行年月
    2021年03月
  • ISBN
    978-4-7842-2007-6

著者・編者略歴

むとう・ゆかり

並河靖之七宝記念館主任学芸員
植彌加藤造園株式会社庭園研究開発室研究員
京都芸術大学日本庭園・歴史遺産研究センター客員研究員
京都美術工芸大学非常勤講師

内容

明治の七宝が放つ圧倒的な存在感は、多くの人々を魅了し、近代工芸の価値が見直されるなかで、ますます注目を集めている。

19世紀の万国博覧会で高い評価を得て世界を虜にしたが、20世紀に入ると日本の七宝業そのものが衰退し、人々の記憶から失われた。そのため研究も手薄で、近代に新興産業として成長した実態はほとんど解明されていない。

本書は京都の七宝家・並河靖之と並河七宝を中心に、同家に残された膨大な史資料の検討、製作環境としての庭園の存在意義、釉薬の科学分析などに基づき、同時代の尾張七宝や東京の濤川惣助七宝をも視野に入れ、七宝の表現を支えた源泉を探り、その上で近代七宝業のありようを明らかにする初めての試みである。

【担当編集者より】
並河靖之の七宝を初めてみたのは、京都・岡崎にある並河靖之七宝記念館でした。その繊細で美しい作品に息を呑みました。その後、庭に歩みを進めると、そこには7代目小川治兵衛の庭が広がっており、またその美しさに目を奪われました。そこには京都の街中とは思えない、別の時間が流れているようでした。きっと明治時代にここを訪れた人々も同じような体験をしたに違いありません。本書が明らかにするように、並河七宝においては、作品と庭園・邸宅、そして販売が深く結びついていたことがよくわかります。本書を読んでから記念館を訪れるもよし、記念館を訪れてから読むもよし。世界で評価された並河七宝の魅力が詰まった1冊です。

目次

序 章 明治維新と日本の七宝業
 第一節 七宝研究の魅力
 第二節 日本の七宝業を解き明かすために


第一部 日本七宝業史概論
                  
第一章 日本の七宝業の系譜─近世末まで
 第一節 近世以前の七宝業
 第二節 幕末に至るまでの七宝業

第二章 日本の七宝業の系譜―近代
 第一節 近代七宝の胎動
 第二節 尾張
 第三節 京都
 第四節 東京


第二部 並河靖之の七宝業

第一章 七宝家・並河靖之の誕生
 第一節 並河靖之の経歴
 第二節 起業の経緯
 第三節 並河七宝の軌跡

第二章 並河七宝の事業の展開
 第一節 拡大する事業内容
 第二節 邸宅空間での生業
 第三節 並河七宝の販売傾向

第三章 七宝業がつなぐ並河の芸苑
 第一節 並河七宝の製作環境
 第二節 史資料にみる並河邸と七宝業
 第三節 並河七宝に集う人々

第四章 七宝釉薬にみる明治期の七宝技法―並河七宝を中心に
 第一節 明治期の七宝技法
 第二節 明治期の七宝釉薬の自然科学分析調査
 
終 章 並河七宝と近代七宝業
 第一節 色彩の近代化―七宝と日本絵画
 第二節 近代七宝業における並河七宝
 第三節 並河七宝が映し出す日本の近代七宝業


史資料解題 並河靖之の七宝業に関する史資料
 第一節 史資料の概観
 第二節 史資料研究が明かす近代七宝業


あとがき
参考文献
収録図表一覧
索引




紹介媒体

  • 『技術と文明』23巻2号

    2023年3月

    田中一郎

    書評

関連書籍

  • このエントリーをはてなブックマークに追加