信濃をフイールドにして、医師による医療のひろがり、医師の組織化、医療の近代化等の医療をめぐる歴史的変化に、在村蘭学がどのようにかかわっていたのか、江戸時代の地域社会のなかでどのような歴史的展開をたどったか、とくに庶民生活とどう関わっていたかを明かすとともに、蘭学の全体像にたいしての位置付けと見通しにとりくんだ成果。
関連書籍
ザイソンランガクノケンキュウ
在村蘭学の研究
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体裁A5・460頁
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刊行年月1998年03月
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ISBN4784209638
内容
目次
第1章 在村蘭学の諸相
はじめに-在村蘭学研究の現在-
第1節 郷党と在村医
第2節 蘭学における中央と地方の交流
第3節 全国に広がる蘭学塾と門人
おわりに-在村蘭学のひろがりと近代-
第2章 信濃蘭学の展開-門人帳分析による基礎的研究
第1節 蘭学塾門人帳にみる信濃門人
第2節 諸記録からみる信濃蘭学者
第3節 在村蘭学の地域での諸相
第3章 領主的医療の展開
はじめに
第1節 領主的医療と恩恵的医療政策
第2節 京都医界と信濃
第3節 藩医の出自と増加
おわりに
第4章 医師による医療のひろがり-『こよみ草』をてがかりに-
はじめに
第1節 近世前期疾病の流行と庶民
第2節 『こよみ草』にみる医療
第3節 『こよみ草』にみる医師形成
第4節 医師需要のたかまりとその活動
おわりに
第5章 医師の村方引譜をめぐって
はじめに
第1節 さまざまな医療
第2節 医薬の普及と町村医の増加
第3節 医師の村方引譜をめぐって
おわりに
第6章 在村漢学者伊藤忠岱と蘭学-漢学と蘭学の接点-
はじめに
第1節 伊藤忠岱略伝
第2節 忠岱の著者・師系・思想
第3節 漢蘭の交流と蘭学の浸透
おわりに
〔附録〕 伊藤忠岱蔵書目録
第7章 農民出身蘭方医宮原良碩と地方医界
はじめに
第1節 『シーボルト治療方』と『治療日記』
第2節 宮原良碩とその周辺
第3節 農民出身蘭方医の誕生
おわりに
第8章 信州における初期種痘と熊谷家-在村蘭方医熊谷珪碩・謙斎の意識と行動-
はじめに
第1節 熊谷家略系
第2節 熊谷家と江馬家の医療交流
第3節 熊谷家による信州初期の種痘
第4節 珪碩・謙斎の医療観
おわりに
第9章 順天堂門人須田経哲とその背景
はじめに
第1節 須田経哲とその一族
第2節 経哲の医療活動
第3節 江戸後期伊那の医療事情と飢餓体験
おわりに
第10章 幕末期蘭方診療の実態-善光寺医師金子成三の処方-
はじめに
第1節 金子成三の諸記録
第2節 『調合日記』にみる成三の処方
第3節 北信濃への医薬の普及
おわりに
第11章 在村の蘭学と地域医療の近代化-幕末から明治初年の長野県医界
はじめに
第1節 医師開業履歴書
第2節 筑摩県医黌兼病院と医師養成
第3節 東信地方の種痘の実施
おわりに
あとがき
索引(人名・事項)