中島(なかしま)家は、瀬戸内市邑久町北島に二代玄古が居を構え、今日(十代祐一)まで医業を継続している在村医家である。その恵まれた立地条件と、長らく在村医として郷里に尽くしたこと、戦中戦後の混乱を恐れて家を封印していたことにより、書籍・古文書・器物類の散逸を免れた。そのため、その史料群は「未盗掘の古墳」にたとえられている。
本書は、江戸中期より続く在村医家に残る貴重な書籍・古文書・器物類の解読・分析を通して、当家歴代の生涯、研究論文9篇、史料翻刻5篇、蔵書目録および年表を収録。中島家の医業の歩みに光を当てる一書。
関連書籍
ビゼンオカヤマノザイソンイ ナカシマケノレキシ
備前岡山の在村医 中島家の歴史
-
体裁B5判上製・318頁
-
刊行年月2015年11月
-
ISBN978-4-7842-1826-4
内容
目次
Ⅰ 中島家の歴史 中島洋一(医門第九世)
第一章 中島姓の由来
第二章 中島多四郎友行
第三章 中島友三(医門第一世)
第四章 中島玄古(医門第二世)
第五章 中島宗仙(医門第三世)
第六章 中島友玄(医門第四世)
第七章 中島玄章(医門第五世)
第八章 中島 乴(医門第六世)
第九章 中島一太(医門第七世)
第十章 中島達二(医門第八世)
中島家系図
Ⅱ 研究論文・史料
地域医療史研究の端緒としての中島家文書 松村紀明(帝京平成大学講師)
―『鍼灸施治姓名録』をもとに―
中島友玄の患者の診療圏について 木下 浩(中島医家資料館主任研究員)
中島友玄と岡山県邑久郡における江戸末期から明治初期の種痘 木下 浩
事業者としての友玄 梶谷真司(東京大学教授)
―製売薬から見た中島家の家業経営―
中島宗仙・友玄と一九世紀日本の漢蘭折衷医学 町泉寿郎(二松学舎大学教授)
『胎産新書』諸本について 清水信子(二松学舎大学非常勤講師)
―中島家所蔵本を中心として―
『回生鈎胞代臆』からみた中島友玄の産科医療 鈴木則子(奈良女子大学教授)
地域社会における宗教者たち 平崎真右(二松学舎大学博士後期課程)
―神子家中島氏とその位置づけを巡って―
中島乴と明治期岡山の美笑流 黒澤 学(株式会社大倉陶園)
※ ※ ※
回生鈎胞(代)臆 板野俊文(香川大学名誉教授)・田中健二(香川大学名誉教授)・中島洋一
中島友玄の京学日記 町泉寿郎
中島宗仙書簡集 町泉寿郎
京遊厨費録 町泉寿郎
筑紫行雑記 松村紀明
Ⅲ 中島家蔵書目録 清水信子編
Ⅳ 中島家年表 清水信子編
おわりに
索引(人名・事項)
紹介媒体
-
「洋学史通信」29号
2017年12月29日
松村紀明
紹介