江戸末期に緒方洪庵らが開き、その後の天然痘予防の普及活動の拠点となった大阪の「除痘館」。
その活動記録「除痘館記録」は、洪庵が適塾を主宰し多くの人材を育成する一方、生涯かけて取り組んだものであり、今も緒方家に伝えられている。それは洪庵や大阪の除痘館活動の実態を明らかにするだけでなく、西洋医学の移入を通して人々を天然痘の災厄から救済し、解放する除痘館活動そのものの役割や、その近代化に寄与する様相を見事に描きだすものとなっている。
本書は第一部で「除痘館記録」の原本図版・翻刻・現代語訳・註と解説、第二部に論考を配し、幕末という当時の歴史的背景や具体相、あるいは洪庵を取り巻く状況や環境などを丁寧に解説することで、より多くの人々が緒方洪庵と除痘館事業の活動を再認識できるよう構成し、病いとの闘いに迫る。
定価
2,530 円(税込)
本体 2,300円
在庫状況:
在庫あり
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定価
2,530 円(税込)
本体 2,300円
在庫状況:
在庫あり
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体裁A5判上製・216頁
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刊行年月2015年07月
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ISBN978-4-7842-1806-6
内容
目次
第一部「除痘館記録」を読む
Ⅰ 「除痘館記録」の影印
Ⅱ 「除痘館記録」の翻刻・読解
Ⅲ 現代語訳「除痘館記録」
Ⅳ 「除痘館記録」の註と解説
第二部 天然痘対策と除痘館活動
第一章 天然痘対策と緒方洪庵
Ⅰ 天然痘との闘い………………米田該典
―種痘法の開発と根絶宣言への道―
Ⅱ 緒方洪庵と「除痘館記録」………………淺井允晶
[コラム]①大阪と江戸・東京―緒方洪庵の二つの墓所―(緒方高志)
第二章 大阪の除痘館の成立と展開
Ⅰ モーニケ苗の伝来と展開………………米田該典
Ⅱ 大阪の除痘館の成立………………淺井允晶
[コラム]②古手町除痘館記念碑の建立(川上潤)
Ⅲ 大阪の除痘館の活動と官許………………古西義麿
[コラム]③除痘館での牛痘種痘接種風景(川上 潤)
Ⅳ 尼崎町除痘館の創成と展開………………古西義麿
[コラム]④尼崎町除痘館記念銘板について(川上潤)
第三章 牛痘種痘法の意義と役割
Ⅰ エドワード・ジェンナーによる牛痘種痘法の開発………………加藤四郎
Ⅱ 天然痘対策の今日的意義………………加藤四郎
天然痘(痘瘡)と大阪の除痘館 関係年表
主な参考文献
挿図目録
あとがき
執筆者紹介
除痘館記念資料室ガイド
関連リンク
紹介媒体
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2015年10月1日
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『洋学史通信』25号
2015年12月18日
青木歳幸
新刊紹介
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2016年12月
海原亮
書評