江馬賞(日本風俗史学会)

内容

民俗文化を生活の諸相の複合体と捉え、庶民層から貴族層までを対象とした多ジャンルの個別研究を総合し、その根底にある日本民族の民族性を抽出する。客観性を重視し、個別研究の範囲で民俗事象の分析に終始してきた従来の民俗学への異議申し立ての書。

目次

第1章 民俗文化の概観と研究法
  複合体としての生活文化─奈良県口吉野地方を例として─
  地域の諸相
    舞鶴湾岸の年中行事─京都府舞鶴市字青井調査報告─
    奈良県大宇陀町旧松山の民俗文化
  近代民衆生活の変容─滋賀県栗東地域の生活改善の展開
  採訪と実感─フィールド・ワークの方法と目的─

第2章 信仰と心意の諸相
  摂津国住吉大社田植行事に関する一考察
  赤の民俗性について
  鬼の異形とその実相
  熊野牛王について
  カンジョウカケ行事─奈良県平群町大字椣原の事例─

第3章 衣食住生活の展開
  衣生活と住空間
    服飾研究と民俗学
    京都府船井郡日吉町の服飾と住生活
    燈火具としての松燈台
  食事空間における食卓と食器の利用形態
  農村住宅変容の民俗学的考察─奈良盆地の事例を通して─
  家財道具の変遷

第4章 民俗技術と生業
  機織技術の諸相
    紡織技術の変遷
    木綿織の技術─奈良県下の事例報告─
    筬の製作技術
  龍骨車・踏車研究─湖東平野・奈良盆地の利用状況─
  農具商についての民具論的考察─特に大阪を中心として─
  藁縄の民間伝承─実用と信仰の両面を通して─
  吉野林業の伝統的技術と用具
  山の技術伝承─奈良県吉野郡十津川村調査報告─
  諸職の展開
    伝統的生活と職人
    鍛冶屋の製作技術
    丸薬製法の変遷

第5章 都市文化の展開
  情報社会の形成─都市と農村社会の比較を通して─
  悪所の構造と本質─大阪の余暇空間を中心として─
  花見文化と近世人

第6章 儀礼文化の内実
  貴族社会における着袴の習俗
  元服儀礼のパフォーマンス
  天皇祭祀と秘儀
  勅使参向と法華大会

付 章 民俗学と博物館
  民俗世界の博物館
  民俗博物館の展示における教育的効果
    指導案の作成
    小学生見学者の理解度
  民俗資料の整理と展示
  民俗博物館の体験学習
    体験学習の考え方
    体験学習の実態
  博物館の情報サービス

紹介媒体

  • 奈良新聞

    2005年6月12日

    読書面

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