著者・編者略歴

たに・やへえ・・・1934年奈良県吉野郡小川村(現東吉野村)生.同志社大学経済学部卒.奈良県下の中学校教員を経て,大阪市立大学大学院経済学研究科前期博士課程修了.

内容

いま日本の林業は存亡の危機に直面している。かつて全国に冠たる発展を遂げ、その名をとどろかせた吉野林業地帯とて例外ではない。吉野の地に生まれ、林業とそれに携わる人々の浮沈を間近に見て育った著者が、吉野林業の光と影を、史料に基づいて実証的に明らかにした本書は、吉野林業を初めて通史的にとりあげた研究として、画期的意義を有する。幾多の困難に直面しながらも、決して屈することのなかった吉野林業のDNAを今に伝える意欲作。

目次

まえがき

序 章 近世吉野林業史研究の視点
 本章の課題
 第一節 吉野林業地帯
 第二節 材木生産を機軸とした吉野林業の発展構造
 第三節 完全な民営林業
 第四節 小農型林業
 第五節 材木商人と小農型の流通機構
 第六節 小農型林業と借地林業制
 第七節 先行諸研究

補論1 借地林業概念とそのイデオロギー的役割
 はじめに 
 第一節 借地林業概念の検討
 第二節 保護制度
 第三節 借地林業概念の形成
 第四節 イデオロギーとしての借地林業

  第Ⅰ部 吉野林業発展史

第一章 吉野地方における育成林業の開始
 本章の課題 
 第一節 材木の生産
 第二節 育成林業の萌芽
 第三節 材木生産の主体
 第四節 大坂市場との接触

第二章 小農型林業の生成
 本章の課題 
 第一節 吉野林業地帯の成立  
 第二節 材木生産の発展    
 第三節 流通機構の整備    
 第四節 小農型林業の始まり
 
第三章 小農型林業の発展
 本章の課題 
 第一節 材木生産の発展
 第二節 植林の広がり
 第三節 小区画・密植・多間伐・長伐期施業体系の成立
 第四節 小農型林業の確立過程
 第五節 惣村山分解と村方構造
 第六節 材木方の成立
 第七節 山元主導の流通機構の確立

第四章 小農型林業の変質
 本章の課題
 第一節 材木生産の発展
 第二節 流筏機構の確立
 第三節 材木諸問屋
 第四節 借地林業制の広がり
 第五節 材木方の活躍
  
補論2 土倉家山林関係文書の実証的研究
 はじめに
 第一節 山林売買証文の概要
 第二節 山林売買証文の分析
 第三節 村方規制
 第四節 転売と質入れ・質流れ
 第五節 伐木山および丸太売買証文の分析
 第六節 材木商人と山林所有者の利益
 第七節 材木商人と金融
 第八節 金融業者・土倉家
 第九節 大山林所有者と救恤
 第十節 農民的林業と借地林業

  第Ⅱ部 吉野林業の担い手

第五章 小農型林業と材木商人
 本章の課題
 第一節 材木商人の性格
 第二節 奥郷の材木商人
 第三節 口郷の材木商人
 第四節 材木商人間の対抗
 第五節 枡家の経営分析
 第六節 盛口家の経営分析
 小 括

第六章 小農型林業と材木組合
 本章の課題
 第一節 材木方の成立 
 第二節 吉野材木方の組織と活動
 第三節 材木方の共同と分裂
 小 括
 
あとがき/索引(事項・地名)

紹介媒体

  • 毎日新聞 朝刊 奈良版

    2008年2月15日

    記事

  • 奈良新聞 朝刊 読書面

    2008年3月2日

    著者インタビュー

  • 日刊木材新聞

    2008年3月8日

    新刊紹介

  • 朝日新聞 朝刊 奈良版

    2008年3月15日

    新刊紹介

  • 奈良民報

    2008年4月6日

    芝房治

    書評

  • 農林経済

    2008年4月14日

    田中淳夫

    書評

  • 『地方史研究』第58巻3号

    2008年6月1日

    井上正行

    書評

  • 奈良新聞

    2008年7月18日

    講演記事

  • 『林業経済』第61巻8号

    2008年11月20日

    芳賀和樹

    書評

  • 『日本歴史』第731号

    2009年4月1日

    脇野博

    書評と紹介

  • 『奈良歴史研究』第73号

    2010年1月31日

    谷山正道

    紹介

  • 『社会経済史学』第75巻第4号

    2009年11月25日

    笠原正夫

    書評

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