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立憲国家中国への始動

明治憲政と近代中国

曽田三郎 著

  • 体裁
    A5判・400頁
  • 刊行年月
    2009年05月
  • ISBN
    978-4-7842-1464-8

著者・編者略歴

そだ・さぶろう……1948年生.広島大学大学院文学研究科東洋史学専攻博士課程単位取得退学.現在、広島大学大学院文学研究科教授.主著『中国近代製糸業の研究』汲古書院、1994年.編著『近代中国と日本』お茶の水書房、2001年 ほか.

内容

従来の単線・単純な辛亥革命史研究の枠組みを打開すべく、立憲国家中国の形成という観点から叙述する中国近代史。内閣制を中心とする行政制度の改革や、省制・省政の改革を軸に、大隈重信などの政治指導者や、有賀長雄のような伊藤系の法学者などの影響を具体的に把握することで、明治憲政の影響を動態としてとらえる。

目次

序 章 近代中国における憲政導入の模索


第1章 日露講和問題と海外政治視察団の派遣

日露講和会議開催の決定と中国の対応
東三省善後策と内政改革の提起
満州における軍政と中国の主権侵害
海外政治視察団派遣の決定と日本の反応


第2章 海外政治・憲政視察団の派遣と日本

載澤らの海外政治視察と日本
端方と達壽の憲政論
穂積の「日本憲法説明書」と有賀の『憲政講義』
李家駒と有賀の『官制篇』
海外政治・憲政視察団の視察報告と憲政準備の開始


第3章 編纂官制館・憲政編査館と官制改革案の作成

国会の即時開設論―楊度のそれを事例に
官制改革をめぐる光緒末期の政局
憲政編査館と楊度
李家駒の憲政編査館提調就任と行政事務分類


第4章 官制改革の推移と日本・日本人

憲政導入の動きと日本での論評
官制改革案の編纂と日本での論評
服部宇之吉の官制改革分析
有賀長雄と青柳篤恒の憲政・官制改革論
『大家論叢 清国立憲問題』について


第5章 地方官制改革と省行政組織の改編

地方官制改革案の作成開始
編纂官制館の地方官制改革案の提示と督撫の反応
「各省官制通則」の制定


第6章 地方行政組織の改編と諮議局創設への着手

会議庁設置の概況
諮議局の開設提案と紳商団体
紳商一二団体の構成と相互関係
紳商団体の地方政治革新構想


第7章 諮議局の創設と国会開設期限短縮後の官制改革

諮議局籌弁処の設置と諮議局の創設
諮議局の議事活動と会議庁
国会開設期限の短縮と内閣官制の制定
国会開設期限の短縮と外官制改革


第8章 中華民国憲法案の起草と外国人顧問

有賀長雄と中国
有賀長雄招聘の経緯
政府の憲法起草活動と有賀長雄
外国人顧問たちの天壇憲法草案批判と憲法論


第9章 中華民国初年における地方制度改革案の審議と挫折

法制院の設置と地方制度構想
法制局の再編成と第一次地方制度案の策定
地方制度案の審議と撤回・修正
修正案の参議院での審議と第三次省制案の作成


第10章 中華民国成立後の憲法案と地方制度改革論

政党間の国家イメージと地方制度論
王寵恵の憲法案とそれへの批判
熊希齢内閣の地方制度案とその後
外国人顧問たちの地方制度案


終章 明治憲政と近代中国―同時代日本人の観察

紹介媒体

  • 『中国研究月報』第744号

    2010年2月25日

    李暁東

    書評

  • 『歴史学研究』第909号

    2013年9月

    田中比呂志

    書評

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