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著者・編者略歴

(たに・のぼる)
1939年大阪府生まれ.1960~2000年,滋賀県立高校教員をつとめ,定年退職後,2000年4月立命館大学文学部日本史学専攻に入学.同大学院を経て,2009年3月博士後期課程を修了.博士(文学).現在,立命館大学客員研究員.

内容

本書は、後鳥羽天皇(上皇)が課せられた政治課題とそれに対する対応=政策理念が、宮中の儀式・行事である公事と修法・寺社参詣参籠等宗教儀礼の中に具現しているとする視点から、それらが果たした政治的役割を個別具体的に検証することにより、多面的な視点に立った後鳥羽理解、政治史叙述を企図したものである。

目次

第一章 後鳥羽上皇研究の進展と課題
第一節 権門体制論以降の中世前期政治史研究
中世前期国家理解/武家政権、守護・地頭論/公家政権―院政論/寺社勢力論・顕密体制論
第二節 後鳥羽上皇研究の展開
三浦周行・龍粛氏による戦前の研究/後鳥羽上皇研究の枠組み形成-戦後~1960年代/戦後研究の整理と論点の多様化1970~80年代/研究の進展と拡大1990~2000年代
第三節 後鳥羽上皇研究の課題と論点

第二章 後鳥羽天皇在位から院政期における神器政策と神器観
第一節 神器出京と後鳥羽天皇践祚・即位
神器出京と京都朝廷の対応/後鳥羽天皇践祚・即位/神器還京
第二節 宝剣なき京都朝廷
宝剣なき朝儀と剣璽前後問題/宝剣捜索/「宝剣代」「准宝剣」の創出
第三節 後鳥羽の時代における神器観
後白河法皇・九条兼実・源頼朝らの神器観/慈円・藤原定家および順徳天皇・後鳥羽上皇の神器観

第三章 大嘗会和歌地名に見る王権と在地―後鳥羽天皇大嘗会を中心に―
第一節 大嘗会和歌と「風土記」注進
大嘗会和歌と詠進次第/大嘗会和歌「風土記」注進/「国魂奉献」・「風、風土、土風」と「地名」/後鳥羽天皇大嘗会和歌注進地名
第二節 大嘗会和歌地名に見る郷村と「風土語り」儀礼
大嘗会和歌・文字史料に現れる近江国の郷村/「風土語り」儀礼
第三節 後鳥羽天皇即位儀・大嘗会と和歌地名
後鳥羽天皇即位儀および大嘗会/藤原季経による後鳥羽天皇大嘗会悠紀和歌詠進

第四章 承久の乱にいたる後鳥羽上皇の政治課題―承久年中「修法群」の意味―
第一節 源実朝暗殺事件と後鳥羽上皇
後鳥羽上皇の修法/実朝暗殺事件/公暁の周辺
第二節 後継将軍問題の展開
皇族将軍奏請と地頭改補問題/将軍問題と源頼茂討伐/承久の乱までの展開

〈補論〉 後鳥羽上皇の修法実修過程―承久二年十月十三日付醍醐寺成賢普賢延命法供米支配状写―
第一節 新史料紹介と前欠部分の復元
第二節 承久年中後鳥羽上皇の修法

第五章 承久の乱における後鳥羽上皇の寺社政策―「四箇神領」の創出と熊野・賀茂・石清水社―
第一節 後鳥羽上皇の熊野社政策
一国平均役免除対象地総称用語「四箇神領」の創出/承久の内裏造営と熊野社/後鳥羽上皇の熊野社政策と承久の乱
第二節 賀茂社と石清水八幡宮
『賀茂旧記』に見る後鳥羽上皇と賀茂社/賀茂神主能久の承久の乱参戦/石清水八幡宮

後鳥羽上皇関係系図/後鳥羽上皇関係年表(稿)

 あとがき
 初出一覧
 索引(人名・事項)

紹介媒体

  • 「京都新聞」朝刊

    2010年11月12日

    江藤均

    関西広域ニュース(23面)

  • 『古代文化』第63巻第4号

    2012年3月30日

    岩田慎平(関西学院大学)

    書評

  • 『古文書研究』第73号

    2012年6月

    長村祥知(京都府京都文化博物館学芸員)

    書評と紹介

  • 『日本歴史』第789号

    2014年2月

    白根靖大

    書評と紹介

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