さかい たけし・・・1962年新潟県生.新潟大学人文学部卒.同大学大学院修士課程修了.筑波大学大学院文芸・言語研究科単位取得中退.同大学文芸・言語研究系助手等を経て佛教大学文学部教授.「鷗外・逍遥から見た正岡子規」(『国文学 解釈と鑑賞』75巻11号, 2010年)「鷗外のサービス精神―本保義太郎筆録「美学」ノートの独自性―」(『文学部論集(佛大文学部)』2007年)など.
関連書籍
ボツリソウロンソウトソノエイキョウ
没理想論争とその影響
-
体裁A5判上製・374頁
-
刊行年月2016年02月
-
ISBN978-4-7842-1834-9
著者・編者略歴
内容
明治の文学者たちは、イデー(目に見える現実の世界を越えたところに存在する物事の本質)をどのように把握し、表現しようとしたのか。
明治24年以降、『早稲田文学』と『しがらみ草紙』を舞台に坪内逍遥と森鷗外との間で繰り広げられた「没理想論争」を軸に、明治の文学者たちがイデーと現実との関係をどのように捉えようとしたのか、またこの論争が文学史にどう影響したのかをたどる。
目次
序 章
第一部 没理想論とその時代
第一章 没理想論成立のころ―宗教の混乱とユニテリアン―
第二章 「真理」の時代―二葉亭・逍遥・嵯峨の屋など―
第二部 世界観と認識論の対立
第一章 二葉亭四迷「真理」の変容―仏教への傾倒―
第二章 没理想論争の実相―観念論者逍遥と経験論者?外―
第三章 没理想論と老荘思想
第四章 没理想論争と仏教
第五章 シュヴェーグラー『西洋哲学史』と没理想論争
第三部 揺れていた「想」
第一章 観念としての「理想(想)」―鷗外「審美論」における訳語の問題を中心に―
第二章 『月草』における改稿の意図―「逍遥子の諸評語」における異同をめぐって―
第三章 没理想論争の発端―斎藤緑雨と石橋思案の応酬をめぐって―
第四章 没理想論争の背景―想実論の中で―
第四部 没理想論争の影響
第一章 高瀬文淵と森鷗外―「超絶自然論」と「脱却理想論」を中心に―
第二章 没理想論争と田岡嶺雲―禅の流行と自然主義の成立―
第三章 没理想論争と田山花袋―『野の花』論争における『審美新説』受容の評価をめぐって―
第四章 田山花袋と高瀬文淵―花袋のハルトマン受容をめぐって―
第五章 鷗外の具象理想美学とその影響―日清戦争後の文壇と花袋と―
第五部 鷗外とハルトマン
第一章 没理想論争における鷗外とE.V.ハルトマン
第二章 鷗外がハルトマンを選んだわけ
第三章 森鷗外「審美論」と本保義太郎筆録「美学」ノート
第四章 鷗外のサービス精神―本保義太郎筆録「美学」ノートの独自性―
資料文献一覧
参考文献一覧
初出一覧
あとがき
索引(人名/事項/書名)