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関連書籍
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翻訳文学の視界
近現代日本文化の変容と翻訳
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体裁A5判・300頁
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刊行年月2012年01月
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ISBN978-4-7842-1600-0
内容
翻訳文学とは何であるのか――。明治維新後の日本にとって翻訳は、西洋文明に学び、近代国家の骨格を整えるために必要な、国家的事業であった。外国文学の翻訳は近代日本文学の形成に大きな影響を及ぼし、そして今日、すべての日本現代文学は、執筆される時点ですでに翻訳されることを想定しているといえよう。
直訳と意訳、翻訳者の役割、原作者の言語意識……。言語が自国文化と深く関わる以上、翻訳文学はつねに複雑な要素をはらむ。最前線で活躍中の研究者たちが、比較文学・比較文化研究の立場から翻訳文学の諸相を語り可能性を探る。
目次
第Ⅰ部 近代日本の翻訳文学
明治二〇年代の翻訳と日本近代文学の《生成》 山田潤治(大正大学専任講師)
魔術的ファンタジーとSFの交叉点――春浪・『アラビアンナイト』・ヴェルヌ―― 私市保彦(武蔵大学名誉教授)
リアリズムの翻訳 翻訳のリアリズム 柏木隆雄(大手前大学副学長)
文学の翻訳から翻訳文学へ――昭和初期のヘミングウェイ、プルースト翻訳を事例に―― 井上 健(東京大学教授)
第Ⅱ部 翻訳者の役割
現代語訳の日本語――谷崎潤一郎と与謝野晶子の『源氏物語』訳―― 中村ともえ(静岡大学講師)
翻訳におけるジェンダーと〈女〉の声の再生――NaomiからKitchenまで―― 金 志映(東京大学博士課程)
翻訳者の透明性について――村上春樹訳『グレート・ギャツビー』をめぐって―― 上西哲雄(東京工業大学教授)
第Ⅲ部 翻訳文学の位相
世界文学としての翻訳文学――ゲーテ、マルクス、シュピッツア、モレッティ―― ソーントン不破直子(日本女子大学名誉教授)
翻訳の詩学・詩学の翻訳――近現代日本詩歌の英訳を中心に―― リース・モートン(東京工業大学教授)
原作者に《なる》――ボルヘス「『ドン・キホーテ』の著者、ピエール・メナール」から―― 諸坂成利(日本大学教授)
母語の外に出ること、エクソフォニーの可能性をめぐって――多和田葉子と〈翻訳〉について―― 依岡隆児(徳島大学教授)
付記
主要参考文献
紹介媒体
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「週刊読書人」第2928号
2012年2月24日
新刊
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「読売新聞」夕刊
2012年4月3日
文化