まきた・ひさみ
京都市立芸術大学芸術資源研究センター客員研究員。1972年からテキスタイルデザイン牧田久美主宰。財団法人日本繊維意匠センター第15回、第16回繊維デザインコンクール、銀賞、金賞。その他受賞・個展開催等多数。
2018年京都市立芸術大学美術研究科博士学位(美術)取得。同年、「戦後日本繊維産業復興期におけるGHQのデザイン育成政策―絹輸出貿易における販売促進企画を中心に―」で意匠学会論文賞受賞。
関連書籍
キモノズアンカラプリントデザインヘ
キモノ図案からプリントデザインへ
GHQの繊維産業復興政策
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体裁A5判上製・368頁
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刊行年月2021年02月
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ISBN978-4-7842-2005-2
著者・編者略歴
内容
物資も国家的信用もなくした敗戦の状況のなかで、いかにして繊維産業は驚異的な発展の中、日本の戦後経済復興の基幹産業と成り得たのだろうか。
本書では、占領初期の1945年~47年の繊維業界の特殊な産業形態のあらましをを確認したのち、1948年以降は世界情勢の大きな変化の中で、GHQの繊維産業優遇政策が果たした役割と著しい復興の経緯を検証する。この中で、かつてない活況を迎える戦後プリントデザインの黎明期を、京都の図案家を中心に国内外からの視点で考察する。とりわけ、激動の国際市場で隆盛に向かう繊維貿易と活況を極めていくプリントデザインとの関連を、美術史・経済史の双方から探ることにより、一国のそれまでの意匠文化がまったく方向を変える、画期的な変化の様相が明らかになる。
【担当編集者より】
京都で着物というと、すっかり観光とセット化したイメージがあります。個人ではなかなか調えられず、私も必要とあればレンタル会社頼みの現状です。現代はことほどさように、着物が洋服にとってかわっていますが、それではいつから日本で洋服がデフォルト化したのでしょうか。私は漠然と、ハイカラなイメージの強い明治~大正時代あたりなのかと考えていましたが、劇的な転換は戦後直後の時代に起こっていました。
本書は、GHQによる公文書を主要資料として取り扱う繊維産業復興政策のダイナミックな歴史的動きを捉えた前半部と、とりわけ図案家が多かった京都における和洋の意匠文化の転換点を克明に捉えた後半部から、現代史、デザイン史、ファッション史など幅広いジャンルの興味関心に応える内容となっています。
目次
まえがき
序章
第一部 占領政策の中で―GHQ日本占領関係資料から見る―
はじめに
第一章 占領初期の繊維動向―GHQのシルク政策―
生糸・絹織物の輸出政策
絹の販売促進政策―『染織図案サンプルブック』―
絹の需要衰退の理由と対策―綿加工貿易への移行―
第二章 GHQの綿加工貿易政策
占領前期のGHQの綿産業政策―CCC棉を中心に―
日本綿産業の本格的復興
第三章 日本綿産業の国際市場進出と諸問題
世界市場に復活する日本綿産業と関係諸国の動向
綿加工貿易における意匠問題―意匠権の侵害―
「意匠問題」の影響と日本繊維意匠センター設立
第二部 国内繊維産業の復興と戦後プリントデザイン創成―染織図案家の動向を中心に―
第四章 戦後プリントデザインの芽生え
戦後初動の挑戦―第一回京都染織見本市―
国内需要の爆発
図案家の動向―第一回日本染織図案家連盟創立記念展覧会―
第五章 彷徨する伝統的美意識―キモノ図案からプリントデザインへの模索―
洋風感覚―マチス、ピカソの展覧会を中心に―
反動的懐古趣味―光琳調―
第六章 先駆的プリント服地図案家の誕生
先駆的グループ「エース」登場
抽象柄プリント服地の流行―図案家の成長―
第七章 躍動する京都プリント―新しいプリントデザインの創成―
GHQおよび訪日アメリカ人の目から見た日本の伝統的染織文化
京都プリントの飛躍―非形象柄―
終章
資料・参考文献
あとがき
初出一覧/図表一覧/索引
紹介媒体
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『デザイン理論』第78号
2021年8月
並木誠士
書評
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『日本歴史』第887号(2022年4月号)
2022年4月1日
井上尚之
書評