ウィーン万国博覧会は明治政府が初めて参加した博覧会であり、日本の近代化を語るうえでの重要性はつとに指摘されてきた。近年、国内外における新資料の発掘、活用が進み、その研究はさまざまな分野で活況を呈している。
本書は、日本とオーストリア双方の視点から日本のウィーン万博参加を複眼的に検討することに加え、政治史、外交史、文化交流史、産業史、技術史など各分野で進む最新の研究を集成することで、従来の殖産興業政策への貢献という評価にとどまらないウィーン万博像を描出する。
★★★担当編集からのひとこと★★★
ウィーン万博は明治政府が初めて参加した万博で、日本の近代化にとって重要な位置にあることは周知に属すといえましょう。
しかしその重要性に比して、ウィーン万博の名を冠する書籍は思いのほか少なく、この万博そのものの研究もあまり活発でないように感じていました。一方で、ウィーン万博に「関連する」研究は各分野で進んでいて、新資料の発掘も盛んです。そこで最新のウィーン万博研究をまとめた本を作りたいと、以前から思っていました。本書では、編者のパンツァー、宮田両氏に、オーストリアからみた日本という視点も加えていただきました。万博を経験して変わる日本の姿を、日本とオーストリアの双方の視点から描けたのではないかと思います。
定価
9,680 円(税込)
本体 8,800円
在庫状況:
品切
関連書籍
1873ネンウィーンバンコクハクランカイ
1873年ウィーン万国博覧会
日墺からみた明治日本の姿
定価
9,680 円(税込)
本体 8,800円
在庫状況:
品切
-
体裁A5判・320頁
-
刊行年月2022年04月
-
ISBN978-4-7842-2028-1
内容
目次
まえがき―本書について(沓澤宣賢)
Ⅰ ウィーン 日本趣味の熱狂とそのゆくえ
第1章 ウィーン万国博覧会を介した日墺関係の始まり(ペーター・パンツァー)
〔付録〕ウィーン万国博覧会における日本について書かれた新聞記事
ウィーン万国博覧会に関する主要欧文文献
第2章 ウィーン万国博覧会でウィーンの人々が見た日本(ペーター・パンツァー)
第3章 ウィーンのジャポニスム黎明期―ウィーン万国博覧会後の日本の流行まで(宮田奈奈)
第4章 ウィーン万国博覧会後のジャポニスムをめぐって―「日本古美術展」とシーボルト兄弟寄贈日本コレクション(堅田智子)
Ⅱ 日本 国家事業としての参同
第5章 ウィーン万国博覧会と日本の参同―明治初期の技術伝習とシーボルト兄弟の活動を中心に(沓澤宣賢)
第6章 幕末・明治初期の万国博覧会と佐賀藩ネットワーク―輸出陶磁器を中心に(伊藤真実子)
第7章 ウィーン万国博覧会と国家事業としての写真制作(谷 昭佳)
第8章 ウィーン万国博覧会の展示品収集と「産物大略」(阿部大地)
第9章 海を渡った物品のその後とニール号沈没の影響―関連資料紹介とともに(遠藤楽子)
あとがき
紹介媒体
-
「洋学史通信」第36号
2022年5月10日
新刊紹介