パリ万国博覧会とジャポニスムの誕生
定価
7,150 円(税込)
本体 6,500円
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パリ万国博覧会とジャポニスムの誕生

寺本敬子 著

  • 体裁
    A5判・370頁
  • 刊行年月
    2017年04月
  • ISBN
    978-4-7842-1888-2

第5回ジャポニスム学会奨励賞 受賞
〈好評増刷〉
2刷出来(2017年11月)
3刷出来(2018年12月)
4刷出来(2021年4月)
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書籍外装に多少の擦れや傷みがございます。

著者・編者略歴

てらもと・のりこ…跡見学園女子大学文学部人文学科助教.フランス近代史、日仏交流史.一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了.パリ第一大学(パンテオン・ソルボンヌ)歴史学科博士課程修了.

内容

万国博覧会の熱狂、それを彩るジャポニスム――
舞台は一九世紀後半のフランス・パリ。一八六七年パリ万国博で日本は最初の公式参加を果たした。フランスで誕生したジャポニスムは、続く一八七八年パリ万国博でまさに開花する。この時代に、いかなる「日本」イメージが形成されていったのだろうか。
ふたつのパリ万国博を舞台に交差する国家の思惑、人と物。「アジア」のなかに埋没していた日本のイメージがしだいに像を結び、やがてジャポニスムという「熱狂」へと収斂していく。日仏両国の史料を駆使し、開催国フランス、参加国日本、パリの観衆、三者の相互作用を通じてジャポニスムの誕生を解き明かす。

●1867年パリ万博150周年記念 PROJECT 1867記念出版

■担当編集者より■
ジャポニスムという現象について語るとき、われわれ日本人はどこか誇らしげな気持ちになってはいないでしょうか? 芸術の都・パリの人々が、我が国の文化に熱狂した――と。それは少し自己(自国)中心的な、かつ牧歌的な見方なのかもしれません。
平安時代と現代で美人の基準が違うように、なにを素晴らしいと思うかは、ある時代、ある地域に特有の要因に、大きく左右されるのではないか? 本書を読むとそんなことを考えさせられます。
なぜ19世紀後半のフランスは日本の美術工芸品に熱狂したのか? フランス側の事情も知ることで、ジャポニスムを多面的にとらえなおす。本書はそんな刺激的な試みをしています。

目次

序 章
一 開催国、参加国、観衆
二 一八六七年・一八七八年のパリ万国博覧会と「日本」
   (1)「日本」との出会い
   (2)ジャポニスムの到来
三 本書の特徴
   (1)ジャポニスム研究における位置
   (2)分析方法――先行研究との関連で――


 第Ⅰ部 一八六七年パリ万国博覧会

第一章 「物」による日本イメージの形成
はじめに
一 パリ万国博覧会のあゆみ
   (1)産業博覧会から万国博覧会へ
   (2)日本と万国博覧会
二 一八六七年パリ万国博覧会の開催と日本の参加
   (1)開催の経緯
   (2)産業芸術の振興
   (3)日本の参加の経緯
   (4)日本の出品物
三 博覧会場における「日本」
   (1)日本の展示
   (2)国際審査委員会の公式評価
   (3)フランス・ジャーナリズムの反応
おわりに

第二章 外交の場としての万国博覧会――「日本」の揺らぎ――
はじめに
一 幕府使節をめぐる英仏の対抗
   (1)一八六七年パリ万国博覧会への徳川昭武の派遣
   (2)シーボルトが幕府使節に随行した経緯
   (3)横浜からパリへ――フランスとイギリスに対する幕府使節の態度の相違――
   (4)パリ到着――全権公使向山一履の要請によるシーボルトの随行継続――
二 パリ万国博覧会における幕府外交の失敗――薩摩藩とモンブラン――
   (1)薩摩藩のパリ万国博覧会への参加経緯――モンブランとの出会い――
   (2)モンブランと日本
   (3)モンブランの見解が転換した背景
   (4)パリ万国博覧会における薩摩藩・フランス・幕府の討議
   (5)フランス社会に露呈された「日本」の揺らぎ
三 フランス外務省の態度――昭武の傅役ヴィレットの報告から――
   (1)ヴィレットの経歴と傅役就任
   (2)ヴィレットの報告書――監視役としての任務――
おわりに


第Ⅱ部 一八七八年パリ万国博覧会

第三章 すれちがう万国博覧会への期待――ジャポニスム誕生の背景で――
はじめに
一 明治初期の日仏関係
   (1)明治政府による在外公館の設置――日本の近代化――
   (2)フランス外務省の対日政策の消極性――普仏戦争による内政の混乱――
   (3)フランスにおける日本文化への関心の広がり
二 フランスの産業芸術と「ジャポニスム」の誕生
   (1)「ジャポニスム」のはじまり
   (2)「ジャポニスム」における日本工芸品の探求
三 一八七八年パリ万国博覧会の開催と日本の参加
   (1)第三共和政における万国博覧会開催の決定
   (2)日本の参加経緯
四 日本博覧会事務局の創設と前田正名の活躍
   (1)難航する日本博覧会事務局の設置
   (2)前田正名の登場
   (3)日本博覧会事務局の創設
五 日本における出品物の収集とその内容
   (1)日本の出品物の収集
   (2)出品者および出品物の特徴
   (3)高等委員会――日本の古美術への期待――
おわりに

第四章 博覧会場における「ジャポニスム」の広がり
はじめに
一 博覧会場における「日本」
   (1)博覧会場の全体像
   (2)日本の展示
   (3)前田正名によるメディア戦略――日本文化の伝達――
二 「日本」の展示に対するフランスの反応
   (1)一八七八年パリ万国博覧会の公式評価
   (2)日本出品物の売上
   (3)フランスのジャーナリズムの反応
三 ジャポニスムの多層化――大衆の「熱狂」と批評家の「落胆」――
   (1)日本陶磁器に対する公式評価
   (2)批評家の目
   (3)フランス工芸品における「ジャポニスム」の影響
おわりに

終 章
一八七八年以降の日仏交流
   (1)「物」の交流
   (2)「人」の交流


あとがき
本書関連年表
掲載図表一覧
人名索引

関連リンク

紹介媒体

  • 「読売新聞」

    2017年6月14日

    著者取材記事

  • 「週刊読書人」

    2017年6月16日

    紹介(4面)

  • 「南日本新聞」

    2017年12月29日

    紹介(11面文化欄)

  • 『日本歴史』第841号

    2018年6月1日

    伊藤真実子

    書評と紹介

  • 『社会経済史学』第84巻第2号

    2018年8月25日

    野村啓介

    書評

  • 『ふらんす』2020年3月号

    2020年3月1日

    座談会(鹿島茂・寺本敬子(著者)・三浦信孝)

    特集:渋沢栄一とフランス「渋沢栄一がフランスで得たもの、日本にもたらしたもの」

  • 『読売新聞』夕刊

    2022年8月9日

    井上晋治

    「世界史アップデート」著者インタビューおよび参考文献として

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