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茶の湯とイエズス会宣教師【オンデマンド版】
中世の異文化交流
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体裁四六判並製・250頁
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刊行年月2019年04月
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ISBN978-4-7842-7041-5
著者・編者略歴
すむっとにー・ゆうみ…米海軍第七艦隊 第72任務部隊/西太平洋艦隊航空司令部 渉外部長,関東学院大学国際文化学部 非常勤講師,キリスト教と文化研究所 客員研究員.
内容
一六世紀末、いわゆる戦国時代に、ヨーロッパからキリスト教布教のために来日したイエズス会宣教師たちは、在日中、文化や人々の生活習慣などの情報収集と分析を行い、日本人にふさわしい宣教の糸口を模索していた。その一つが、日本人の間で盛んに嗜まれていた茶の湯であった。
従来は漠然としか考えられていなかった茶の湯とキリスト教との関係を、ローマイエズス会文書館より収集した本邦初公開の史料をもとに、詳細に明らかにする。
そこからは、彼らキリスト教宣教師たちが、いかに茶の湯の精神的側面を高く評価し、茶の湯による接客を重視していたかが浮き彫りになる。
現在の異文化交流のヒントに満ちた、四百年前のおもてなしの実態を鮮やかに描き出す。(初版2016年)
■担当者より■
第140回直木賞を受賞した山本兼一さんの小説『利休にたずねよ』に、本書のいわば「主人公」とも言える、イエズス会巡察師 アレッサンドロ・ヴァリニャーノの視点から利休を描く一章があります。
ヴァリニャーノは、利休が座敷に活けた椿に、交渉における関白秀吉の意志を読み取り、さらに茶室では、椿の蕾の有無を言わせぬ強靱な生命力に圧倒されます。
そのヴァリニャーノにしても、「自然が味わいたいのなら、山に行けばいいのだ」と溜息をつき、大名物の茶入 紹鴎茄子の価値を秀吉に尋ねられて、ひそかにこう思います。
――鳥籠の水入れにしかならない。
異文化の眼を通じて、茶の湯(というか千利休)の美のあり方が浮き彫りにされていて、作品世界に引き込まれます。
さて、実際のヴァリニャーノはどうだったのでしょうか。
本書の著者は、ローマにあるイエズス会文章館に遺された当時の史料にあたることで、ヴァリニャーノが、実にきめ細かく規則を作り、おもてなしのあり方や、茶道具や抹茶、炭火の管理を行っていたことを、初めて明らかにしています。
本書を読んで、あらたな異文化交流の物語を想像してみませんか?
目次
序論
第一章 異教徒の地への適応主義に基づいた宣教方針
イエズス会創立の経緯/エンリケスの宣教方法
第二章 ルイス・アルメイダの茶会体験報告
アルメイダが堺の都市を訪れるまでの経緯/アルメイダが認識した茶の湯
第三章 ルイス・フロイスの茶室に関する報告
フロイスが認識した茶室/日本における適応主義に基づいた宣教の実態
第四章 通辞ジョアン・ロドリゲス『日本教会史』から 巡察師アレッサンドロ・ヴァリニャーノの宣教方針への道程
ロドリゲスが『日本教会史』を編集した経緯/ヴァリニャーノの日本視察までの経緯/ロドリゲスとヴァリニャーノが認識した日本の礼儀作法
第五章 ヴァリニャーノが茶の湯から導き出した適応主義に基づく宣教方針
ヴァリニャーノが意図したイエズス会の茶の湯者「同宿」/イエズス会修道院内の茶の湯によるもてなし/ヴァリニャーノが認識した茶の湯の精神性
結論
史料「日本管区規則」(ローマイエズス会文書館所蔵)より
「同宿規則」
「客のもてなし方規則」
「茶の湯者規則」
「受付規則」
参考文献/あとがき/索引